家庭内での虐待やネグレクト、過干渉などで居場所を失ったり、コロナ禍で雇い止めになり金銭的に困窮する18歳から29歳までの女性により良い生活への足掛かりにしてもらうことを目的としたシェアハウス「アマヤドリ」が来月7日(金)から横須賀市内で稼働する。立ち上げたのは元養護教諭でカメラマンでもある葉山町在住の菊池操さん。1人で鬱々と悩みを抱える若年層を支える行政や民間の制度は行き届いていないことに着眼し、自分らしい人生を歩んでもらうための受け皿になろうと準備を進めている。
このシェアハウスは、DV被害者らを保護するシェルターとは異なり、社会生活においての自立性を育む施設。衣食住を確保するだけでなく、キャリアコンサルタントによる面談や料理教室などを通して、利用者の深く傷ついた心を徐々に回復させていく。「束の間の雨を凌ぎ元気を蓄えて外へ飛び出してほしい」という思いを込めて「アマヤドリ」と名付けた。
開設のきっかけは、高校の養護教諭として勤めていた時の教え子たちからコロナ禍に届いた悲痛な声にあった。「家族との不仲や収入が減ったことなど切実な悩みばかり。卒業後に連絡を取っていなかった20歳前後の子たちがわざわざSNSで私の名前を見つけてメッセージをくれた」。支援先や相談窓口を探して繋いだりしたが、児童相談所や児童養護施設は18歳までが対象で、一定の年齢を超えた若者を支える制度や団体が少ないことを初めて知った。
こうした背景を踏まえ、シェアハウス開設を決意。昨年10月から準備を始め、12月には法人化。「自然豊かで人も温かい三浦半島に拠点を置きたい」と思い、知人から市内の物件を紹介してもらった。4LDKの一軒家で、1階は台所やリビング、和室の共有スペース。2階は3部屋あり、最大7人まで、最長で1人2年間住める。敷金礼金はなく、光熱費は月額1万円。家賃は始めの半年まで前月収入の25%で、その後は収入に応じて3万8千円〜5万2千円に設定した。すでに1人の入居が決まっているという。家具や家電は一通り揃っており、米や缶詰、レトルト食品も用意。今は自己資金や寄付などで運営を賄っており、安定的な活動資金や的確な情報発信が今後の課題だ。「ほっと一息つき、自分や世間を見つめ直して次の段階へと向かう若者を地域で支えたい」と菊池さんは開設の意図を話した。
プライバシー保護のため、場所の詳細は明かされていない。問い合わせはHP【URL】https://www.amayadori-official.net/
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