観音崎自然博物館で企画展や動画配信などを通じ、自然の魅力を伝えている 佐野 真吾さん 東浦賀在住 34歳
見つける感動 未来の仲間へ
○…水生昆虫の一種「タガメ」。その生態は謎が多く、近頃はファンも多い。その魅力に捉われた一人として、絶滅危惧種となったタガメの復活のための啓発の意味も込めて企画展示をプロデュースした。「私の研究分野の中でもタガメは個人的に思い入れが強い。この企画展がきっかけで昔の私のように興味を持ち、10年後には研究仲間になる子が増えれば」と話す。
○…横浜市金沢区で生まれ育ち、幼稚園の頃に昆虫写真家の著書でタガメを知り、その姿や生態に衝撃を受けた。それからは近所の侍従川や朝比奈、鷹取などの自然で昆虫採集に夢中になった。小学生になり出先のデパートで、図鑑で観た物よりもはるかに大きいタガメを目にした。さらに絶滅危惧種であることを県立博物館で知り、野生のタガメを自分の手で採集することが目標となった。
○…タガメを自らの手で初めて捕獲したのは中学1年生の夏。「その時は喜びと感動のあまり、網を持てないくらいに手が震えていた」と記憶は今でも鮮明に残っている。それからも採集、飼育とタガメに明け暮れ、いつしか守ることが将来の夢となり、以来周りからも昆虫好きと知られるなど、”愛”を貫き通してきた。
○…観音崎自然博物館には5年前から学芸員として勤務し、昆虫の魅力を子どもたちに伝えながら三浦半島を中心に国内外で研究を続けている。「絶滅の危機にある生き物を残すことは人間が生きる環境にとっても意味がある。なによりも目にしたことがない生き物を見つける喜びを未来の仲間たちに残していきたい。時間はかかるが、神奈川に再び野生のタガメが戻ってくる環境を作ることが夢」。その眼差しは少年の頃のままだ。
|
|
|
|
|
|