弧を描くように湾曲した壁面が特徴的な緑が丘の「聖ヨゼフ病院」旧病棟が7月下旬に取り壊されることになった。1939年開院時からの建物は2020年の新病棟完成で役割を終えていたが、コロナ禍で解体工事がずれ込んでいた。建物がある場所は病院利用者のための駐車場として整備される。
同院の前身は、旧日本海軍が軍人とその家族の診療を目的に開設した「横須賀海仁会病院」。看護婦養成所を併設し、市内医療拠点の一つとして機能した。終戦後は米海軍に接収され、当時の米海軍横須賀基地司令官のデッカー大佐の指示で一般利用が始まり、1946年から現在の聖テレジア会が運営する聖ヨゼフ病院となっている。
設計は、モダニズム建築の代表作として知られる東京・日本橋の白木屋本店を手掛けた石本喜久治氏。坂道を上った先の湾曲した敷地の凹曲面に合わせて建てられた建物の形状の美しさが評価され、2013年にはDOCOMOMO Japanの「日本におけるモダン・ムーブメントの建築」に選定されている。
建築の専門家なども戦前の病院建築として希少性の高さを唱えていたが、築80年が経過し、躯体の老朽化が進んでいることから解体されることが決まっていた。
同院では、ホームページ上で解体工事に伴い新病院駐車場が使用できなくなることを伝えているのみで、見学会などの予定はないという。横須賀市は建物の簡易的な調査を行っており、報告資料を作成する。
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