75歳以上の後期高齢ドライバーの運転免許返納状況についてタウンニュース社はこのほど、県内33市町村を対象に調査した。横須賀市で2021年に自主返納したのは免許所有者(75歳以上)の5・45%にあたる913人。返納率は県平均を下回り、自治体間では最大4倍の地域差があることも明らかになった。県警運転免許センターの統計をもとに独自集計した。
県下の返納者数(全年齢)は近年増加傾向にあり、東京・池袋で高齢ドライバーによる母子ら死傷事故が発生した2019年に過去5年では最多の4万6159人を記録。20年は4万3768人、21年は4万1593人で前年比減となったものの、4万人超で推移している。
21年の横須賀市における75歳以上の後期高齢ドライバーは1万6740人で返納者数は913人(5・45%)。県平均の6・01%を下回った。
県内33市町村別に見ると、最も返納率が高いのは川崎市(7・54%)で、葉山町(7・20%)、鎌倉市(6・77%)、横浜市(6・71%)と続いた。最も低いのは箱根町(1・86%)で、地域差は最大で4倍だった。
交通事情色濃く
最も返納率が高かった川崎市中原区(9・16%)の理由について、中原署は、鉄道6線の乗り入れやバス便の充実など交通の利便性の影響が大きいと推測する。一方、最も低かった箱根町を所管する小田原署は「集落が点在しており、都市部ほど交通手段が少ない」と実情を説明。県西や山間部に近い自治体が同様の傾向で、その理由に免許返納によって生活が不便になることなどがあげられる。
事故減も割合微増
県警によると、県内で原付バイク以上が起こした交通事故は5年間で年々減少傾向で、21年には17年比24・9%減の1万9701件になった。
ただ、75歳以上の高齢者が占める割合は6・4%から7・9%に年々微増しており、後期高齢者による交通事故防止対策が課題になっている。
横須賀市では21年3月に「高齢者ドライバー安心チェックシート」を作成。「よく通る道で曲がる場所を間違えることがある」「同乗者と会話しながらの運転がしづらい」「ウインカーを出し忘れることがある」など15の設問を用意し、認知機能低下の早期発見から、運転免許証返納や物忘れの相談窓口につなげようとしている。
返納後の高齢者の「足確保」として、市では70歳以上を対象に「はつらつシニアパス」事業を展開。市内のバス路線が1万9500円で6カ月間乗り放題となるもので、費用の一部を助成している。また、バス路線のない地域での「AI運行バス」実証実験事業を行うなどしている。
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