県立横須賀高校で3月25日、卒業生などが母校を訪れて同窓生と旧交を温め、在校生と交流を図る「ホームカミングデー」が開かれた。同窓会組織の朋友会の主催。企画の一環として、同校卒業生(24期)で京浜急行電鉄(株)代表取締役会長の原田一之氏が講演を行った。
原田氏は平作出身。同校には「卒業以来はじめて足を踏み入れた。50年ぶりのホームカミング」と挨拶。高校3年時にクラスメートが生徒会長に立候補し、それを支える立場で生徒会活動に注力した思い出や同校の特色であるクラス替えがないことで「濃密な友人関係を築くことができた」と振り返った。
この日の演題は「京急電鉄120年の歴史とこれからの三浦半島戦略」。2013年に同社の社長に就任し、会長職を務める現在、京急が描く経営戦略と地域活性に向けた考え方を伝えた。
京急は1898年に大師電気鉄道として創業。「わずか2Kmの路線ながら、京急が戦略として仕掛けた大師詣が後の初詣として定着した」とのエピソードを紹介した。19年に横浜みなとみらい地区に本社を移転。これの理由を「横浜駅は京急の乗降客(約32万人)が一番多く、品川・川崎と三浦半島という個性の異なる地域をつなぐ中間地として、グループ全体の司令塔の役割を果たすため」と説明した。
現在コロナ禍は収まりつつあるが、「交通事業の売上は2割減。この先も100%の回復は見込めず、新時代に突入した」とし、新しい人の動きを見据えて経営計画を再編したという。
そうした中で、打ち出した方針が「COCOON(コクーン)プロジェクト」というエリアマネジメントの新発想。地域事情を考慮しながら事業者や住民、自治体、教育機関と連携し、それぞれが得意とする領域で力を発揮してもらい、課題解消や活性化に取り組むという考え方だ。20年に先行してスタートした「三浦COCOON」を全域展開する。
「かつて経営していたホテルや水族館の事業は専門性が高く、収益化が難しかった。自前でやる発想を捨てて連携に舵を切った。京急がハブの役割を果たし、エリア全体を盛り立てる」。スタート時に60団体だったものが現在は160団体と大きな広がりを見せており、MaaS整備(移動ニーズに応じて、複数の公共交通や移動サービスを組み合わせて最適化する)や観光コンテンツの開発などを進め、魅力向上を図っていくという。
歯止めが効かない横須賀の人口減少にもひと言。「かつての成長時代の成功体験から抜け出せずにいる。過去の栄光を捨てて新しい挑戦と若い力で前進させなければならない─」。講演を熱心に聴いていた現役生らにエールを送った。
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