不登校やひきこもりを支援するNPO法人アンガージュマン・よこすかが運営する「はるかぜ書店」が窮地に立たされている。出版取次と書店をつなぐ仲介業者が資金繰りの悪化で事業停止となり、9月から書籍や雑誌の仕入れが一切できない状況になっている。「ひきこもり当事者が運営する小さな本屋」をコンセプトとする就労支援の事業が揺らいでいる格好だ。
家や自室にひきこもる若者が社会との関わりを取り戻す場所として、2006年に開設されたのが現在のスペース。上町地区にあった書店の経営を引き継ぐ形で事業をスタートさせ、販売接客や配達などの書店業務を社会参加のための研修に位置づけ、働きたい気持ちを持った当事者らをサポートしてきた。最盛期には6人が在籍し、商店街の一員として祭やイベントなどにも積極的に参加。このユニークかつ画期的な仕組みは全国的に注目を集め、取材や視察が殺到したこともあった。
ここ数年は出版不況の影響もあり、書店業務は縮小傾向にあり、現時点で研修を受けている人はいない。同法人の事業には、就労支援のほかにフリースペース運営と個別学習指導があり、経営の直接的なダメージはないが、「(書店は)社会参加の道筋のひとつであり、商店街の協力を得ながら活動してきたことに大きな意味がある」と島田徳隆理事長。出版取次会社と交渉して書店経営の存続の道を探る一方、時流に合った就労支援事業や受け入れてくれる協力企業の開拓など新たな仕組みの構築も視野に入れる。
ひきこもりの定義として、90日以上、家族以外の第三者と関わりを持たない状態を指す。横須賀市内の正確な調査結果はないが、15歳〜39歳で1800人前後、40歳以上で2600人程度がその状態にあると島田理事長は推計する。長期化・高齢化も深刻さを増しているという。
「社会に出たいけれど、出られない。不安な気持ちを抱えている当時者と家族がいなくなったのであれば撤退できるが、課題の解決には程遠い状況。多くの人に支えられてきた”小さな本屋”は大切な場所。簡単にはあきらめない」と島田理事長は力を込めた。
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