横須賀市教育委員会は1月11日の教育委員会会議で、市立小中学校の適正配置をめぐり、田浦小と長浦小、走水小と馬堀小の統合を正式決定した。時期は2025年4月としており、今後児童の通学における安全確保や学校名の検討などを進めていく方針だ。
校名・校章・校歌は今後検討
今回の統合は市の「横須賀市教育環境整備計画」の前期計画に基づき検討されたもの。4校の小規模化や施設の老朽化を踏まえ、市教委は2022年5月に横須賀市立小中学校適正配置審議会へ教育環境整備についての諮問を行った。それを受け審議会は学校関係者、保護者、住民らで構成される両地域の教育環境整備検討協議会に意見聴取を行いながら方策を検討。昨年10月末に両校の統合を妥当だとする答申を提出した。
同日、教育委員会会議に先立ち行われた総合教育会議で上地克明市長は「どんな社会においても生き抜く力を身につけることが教育のあるべき姿」と自身の考えを示し、その実現には学校規模の少人数化や校舎の老朽化は「喫緊に解決すべき課題」だとして、両校の統合はやむを得ないとする旨を述べた。
同会議に出席した教育委員からは児童が得る「個別最適な学びと協働的な学び」「チームワークを育む中での自制心や他者との関係づくりを学ぶ機会」などの重要性が挙げられ、それらを保証するにはある程度の集団規模が必要であるという全体の方針で一致した。
通学手段に課題
各校の統合に伴い両地域では最長3Kmの通学距離が発生するほか、交通量の多いトンネルや沿岸部を通行する児童もおり、同会議では通学の安全確保についても検討を進める方針が同委員会と市長の間で共有された。
保護者からはスクールバスの運行や路線バスの定期補助を要望する声が上がっているが、具体的な方策・予算については議会の承認を得る必要があるため、現時点では示されていない。
「編入ではなく統合」
市教委は今回の教育環境整備が田浦・走水両校の「編入」ではなく「統合」である点に言及。どちらか一方が吸収されるのではなく、新たに学校が創設される形を取るため、学校名や校歌、校章については、地域住民や児童の意見を踏まえながら今後検討していくとしている。
保護者から不安も
統合が正式に決定し、各地域の住民や保護者からは不安の声も上がっている。田浦小のPTA役員会は「通学の安全や放課後における児童の居場所確保、単独で通学できない児童への対応が確約されないなら、学校を移動することはできない」としており、同校の跡地活用等も含め、市へ意見を提出する方針だ。走水地区でも統合の中止を求める約3500筆の署名が提出されるなど、地域の関心は高い。2月には走水・馬堀、田浦の両地域で住民・保護者への説明会が行われる。
また、「市教育環境整備」の後期計画では逸見、沢山、桜、汐入各小学校がそれぞれ対象となっており、今後各地域で協議会が設置され検討が進められていく。逸見、沢山・汐入の3校は、全ての学年が単学級の小規模校で、桜小は27年度にはすべての学年が単学級になる見込みとなっている。
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