2021年5月に障害者差別解消法が改正され、今年4月から行政や事業者による「合理的配慮」の提供が義務化される。日常・社会生活の中における設備やサービスの中には、障害のある人にとっては利用が難しいものも多く、結果的に当人の活動等が制限されてしまうことがある。社会的なバリアを取り除くため、事業者等は当事者との建設的な対話を経て事業活動に支障の出ない程度の対応を講じることが求められる。
当事者として発信
「障害のある当事者と対話し、実情を知ることが社会を変える第一歩になる」と話すのは岩戸在住の須田有美さん。須田さんは24歳の時に全身の筋肉が低下していく「遠位型ミオパチー」という進行性の筋疾患の診断を受け、現在は顔や手首を除いて全身が動かない状態にある。当事者として、「障害」を入り口に誰もが平等に参加できる社会の実現について考える「障害平等研修(DET)」のファシリテーターを務め、市内外で行われる研修や講演に登壇。「障害は社会の側にある」という気づきを参加者に与えている。
多様な選択肢も
趣味のピアノや約20年働き続けた職場など、病が進行していく中で須田さんが手放さざるを得なかったものは少なくない。一方で、近年は多様性の概念が広がり、マイノリティーにとって利用しやすいサービスも増えてきているという。
その一つの例はおしゃれ。街の美容院に行くにはヘルパーの介助が必須となるほか、これまでは店の入り口の段差やシャンプー台の位置などに障壁がある店舗も多かったが、「訪問美容」というサービスを知ってからはカラーやパーマなどを気兼ねなく楽しめるようになったという。障害について理解がある美容師が、住み慣れた場所で施術をしてくれることも魅力だが、「何よりも好きなおしゃれを諦めなくてよかった」と微笑む。
福祉制度や障害に対する認知不足など、多様性の実現に向けて課題も多いが、「健常者も含めた一人一人が自分事として問題を捉えることで誰にとっても暮らしやすい世の中になるのでは」と社会のさらなる変化に期待を寄せ、自身の体験を多くの人に共有していく。
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