墨絵を題材にした画文集を上梓し、逸見のギャラリーで個展を開く 石丸 謙二郎さん 70歳
「半端者」のハンパない熱量
○…「世界の車窓から」のナレーションや大河ドラマの出演などでおなじみ。肩書は俳優だが、登山、スキー、釣り、ピアノ演奏など、近年はその多種多様な趣味が注目されることも増えてきた。旅先で出会った美しい自然を描写した「墨絵」をテーマにした個展は今回で3回目。1年ぶりの開催だが、展示する作品の多くが初公開の新作となっており、70歳を超えても制作意欲に陰りは見られない。
○…墨絵との出会いは5年前。知人からアウトドア用毛筆セット「野筆」を贈られたのを機に、仕事や趣味で訪れた地の風景を描くようになった。しかし、野筆は本来俳句や短歌など文筆向けの筆記具。それを知らず”自己流”のまま制作にのめりこんだ。勘違いから始まった趣味だが、「おかげでルールや伝統にとらわれず思いのままに描くことが出来る」と微笑む。
○…三浦半島との出会いは30年以上前に始めたウインドサーフィン。かつては年間150日以上訪れたことも。山をテーマにしたラジオの冠番組を持つなど、世間では登山のイメージが先行しているが、「朝日・夕日の両方を背にして海景色を楽しめる独特な地形」と沿岸都市としての三浦半島に魅力を感じている。
○…スキーを始めたのは60歳、墨絵とピアノに至っては65歳。年齢にとらわれず新たな趣味を享受できるのは「他者との比較をしないから」。能力や結果ではなく、制作や演奏そのものの楽しさを味わう純粋さは若い頃から一貫しており、本業でも演技自体の楽しさを今でも感じ続けている。趣味の多さから、同業の輩に「半端者」と皮肉られた若手時代。当時も今も、趣味に取り組む熱量は決して”ハンパ”ではない。興味の赴くまま、挑戦を続ける。
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