地域金融機関の「かながわ信用金庫」の理事長に就いた 高瀨 清孝さん 横須賀市吉井在住 53歳
地域と向き合う信金イズム
○…横須賀経済をけん引してきた名経営者から渡されたバトンは重い。16年ぶりの理事長交代。6月末にあった総代会で発表された人事は驚きを持って迎えられた。ICTの普及にDX化など金融機関を取り巻く環境が大きく変化している。インターネットやスマートフォンを利用した決済は年々増加、融資だけでない取引先企業の伴走支援も重要な役割となっている。組織の若返りは新時代に向けた布石。長年営業部門を率いてきた実績と実直な人柄を買われ、後任として白羽の矢が立った。
○…営業畑一筋。駆け出しの頃は得意先で「小さいけど元気」と可愛がられた。年配の個人客は「背が伸びるようにと牛乳を用意して待ってくれていた」というほどの親密ぶり。フェイス・トゥ・フェイスのふれあいを大切にする信用金庫の営業スタイルが肌に合った。
○…横須賀高校から慶応義塾大学へと進み、就職先は地元に絞った。兄が重度の障がいを抱えており、家族の負担を考えるとこの場所を離れることができなかった。面接でそのことを伝えると、「うちで力を発揮してくれ」とあたたかく迎えてくれたことが印象に残っている。
○…数多の金融機関が経営の合理化や効率化を推し進める中、「かなしん」は店舗を基点とした従来の営業スタイルを崩さない。「地域から逃げず、向き合う」姿勢は逆張りともとれる。前理事長(現会長)が打ち出した「強くてやさしい」のスローガンを至言と受け止め、強固な経営基盤を背景に、社会貢献や地域活性化の活動にも注力していく。「経営の軸はぶらさない」。地域の発展があってこその信金経営を胸に刻む。自分のカラーを打ち出すのは後でいい。
|
|
|
|
|
|