夜の猿島を舞台にした芸術祭でダンスパフォーマンスを披露する asamicro(アサミクロ)さん(本名:前谷麻実) 西浦賀出身 38歳
複雑な感情ダンスで表現
○...ダンサー兼振付家。活動名のasamicro(アサミクロ)は本名の麻実(あさみ)に小さい身体を意味するマイクロを掛け合わせたもの。「主役ではないものを主役に見せていく」思いも込めたダブル・ミーニングだ。ヒップホップを経由して現在はコンテンポラリーダンスに軸足を置きながら舞台の演出や構成を手掛け、自らもステージに立っている。
○...小学校1年生から中学校卒業までの9年間を不登校で過ごした。入学した最初のクラスが学級崩壊の状態。教室を走り回る子、泣いている子。それをヒステリックに怒る教師の姿を見て「こんな場所にいたくない」。意思表示のつもりの登校拒否だったが、ひと月続けると大人たちの表情が変わっていき、次第に「行かない」が「行けない」になり、精神が崩壊。学校の思い出はほとんどない。有り余る時間は「アイドルのダンスを録画して振り真似。何時間踊っても飽きることはなく、つらい気持ちを忘れることができた」
○...6年前の舞台で「朝ごはん」と名付けたダンスを発表した。明日の朝に対して、自分の身体と心を大事に目覚めさせることを表現したもの。「朝なんてこなければいいのに─」。そう感じていたかつての自分へのアンサーであり、未来への期待を込めた。
○...今回の芸術祭は横須賀の土地に刻まれた歴史や文化をアート越しに見つめ直すことがコンセプト。浦賀で昭和初期頃まで行われていた水神を祀る風習で、祖母から聞いた「川浸りの朔日(ついたち)」を題材にしたパフォーマンスを披露する。今夏、リサーチのために地元の祭りを訪れたが、「居場所がなかったあの頃が思い出され、(横須賀は)やっぱりしっくりこない。でも嫌いじゃない」。言葉にできない複雑な感情をダンスで伝える。
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