2008年から15年まで米海軍横須賀基地に配備された原子力空母「ジョージ・ワシントン(GW)」が近く、再配備される。5月に離日した「ロナルド・レーガン」と交代で、原子炉の燃料棒を含む大規模オーバーホールを終え、10月上旬に米カリフォルニア州サンディエゴを出港。8月1日付で同基地を拠点とする第7艦隊での運用が始まっており、今月中にも同基地に入港するとみられる。
GWは米海軍ニミッツ級の空母で1992年に就役。通常型空母キティホークの後継として08年に横須賀基地を事実上の母港として配備された。
全長約333m、満載排水量は10万tを超え、原子炉2基を搭載。軍艦としては世界最大級の大きさを誇る。戦闘機や哨戒機、ヘリコプターなど85機を搭載し、乗組員は約5500人。大規模整備のため、15年5月に離日していた。
市民の反応は
原子力空母の交代を巡っては、「原子力空母母港化の是非を問う住民投票を成功させる会」が今春、配備の是非を問うアンケート調査を実施。市内在住の3485人が回答し、賛否について「どちらともいえない」が46・1%で最も多く、賛成は23・8%、反対は30・1%だった。
原子力空母の配備を巡っては、軍事機密であることを理由に原子炉の安全性を含むほとんどの情報が「ブラックボックス化」され、情報が公開されてこなかった経緯がある。同会共同代表の呉東正彦弁護士(65)は「判断材料に乏しく、市民に危険性が周知されにくい」と警鐘を鳴らす。原子炉は原子力発電所と同じ原理で稼働しており、過去に実施した事故想定被害予測では三浦半島のほぼ全域が致死被害範囲に含まれたという。
同会ではアンケート結果を踏まえ、9月に在日米海軍と日本政府宛てに原子炉の情報公開と原子力艦の事故を想定した防災訓練の一元的な実施などを求める要請書を提出。同月、横須賀市に対しても要請書を提出し、米海軍や国に情報公開を求めることや、訓練対象地域の拡大、小中学生への周知などを求めた。
リスク周知を
米海軍はGWを「日本への唯一の前方展開戦力」と位置付ける。作戦行動時はイージス艦や潜水艦、補給艦などを従え、空母打撃群を編成する。強大な戦力は抑止力としての機能の反面、有事の際は標的になる可能性もはらんでおり、呉東弁護士は「防災体制の必要性を含め、原子力空母のリスクを市民が知る必要がある」と強調した。
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