タウンレポート 最高の蕎麦を打ちたい蕎麦職人、乙女の挑戦 ただ今、修行中
練って延し、切って茹でる―。この一連の工程で仕上がる蕎麦。しかし、職人が繰り出す技によって蕎麦の香りや喉ごし、見栄え、食感は大きく左右されてしまうとても繊細でデリケートな食。切り3日、延し3カ月、練りは一生修行と言われる所以はそこにある。本格的な職人を目指す男性でも、厳しい修行に根を上げ途中で挫折する人も多いこの世界で、2人の女性が蕎麦職人を目指し修行に励んでいる。
修行を積んでいるのは、市内に住む丸山香さん(28歳)と小菅美里さん(21歳)。店は三浦海岸駅近くの手打ち蕎麦「朝比奈」。
丸山さんは入店して2年半。現在二八蕎麦を任されている。「蕎麦粉が蕎麦という形になっていく過程の楽しさを実感。なにより、自分の打った蕎麦をお客様に出せる喜びが湧いてきた」と話す。店主の勧めから蕎麦を打つことに。当初は、自分に蕎麦を打つことが出来るのか不安でいっぱいだったという。しかし「誰でも最初は皆同じ、と自分に言い聞かせチャレンジした。店主に近づけるよう腕を磨きたい」と技術向上を目指す。
小菅さんは現在、十割蕎麦を担当。練りまでの工程を任されている。小麦粉をつなぎとして使う二八蕎麦とは違い、つなぎをつかわない十割は「時間との勝負」と言いきる。加水のタイミングを見極め、転がしながら独特のねばりと弾力を引き出す。吸収性が早いことから手際は大事。1kgの蕎麦を10分以内に仕上げる。本格的に働き始めたのは今年一月からだが、高校生の時に同店でアルバイトをしていたこともあり経験は長い。店主の厳しい指導に「厳しさの裏には、私を一人前に育てるためのやさしさだと受け止めている」と前を向く。
ふたりは「指から伝わってくる蕎麦の弾力性が大事。一番良い状態を見極め、最高の状態に仕上げお客様に出すことを心がけている」と口を揃える。
店主の石下桂三さんは、そんな2人の若き弟子に大きな期待を寄せている。自身、体を壊しいつまで蕎麦を打つことができるか不安の中仕事と向き合っている毎日。引退する前に自分の技術を受け継いでくれる人を育てたい。そんな思いを抱いていたときこの2人に出会った。「今までも厳しい修行に耐えられず挫折していった人がいる中、彼女たちは必死に覚えようと頑張っている。そんな思いに私は全身全霊を込めて応えたい。時には厳しく指導することもあるが、彼女たちは決して負けない。向上心が高い」と絶賛する。しかし「まだまだ一人前になるには時間がかかる」と厳しい言葉も。それでも「覚えは速い」と期待感を表す。
「二人は三浦に生まれ三浦で育った人間。地元で新たな道を切り開くために一生懸命頑張る。それがうれしいじゃないか」と鋭い表情から一瞬、優しい表情に変わった。
![]() ▲小菅美里さん
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「チェルSeaみうら」徹底解剖6月21日 |
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