波と風と一体になるその瞬間、見ている者を釘付けにする―。海面を華麗にジャンプし、水飛沫を上げて波間を颯爽と走るのは、南下浦町在住の吉田洋海さん(27)。三浦海岸をホームゲレンデとして活躍する、プロウインドサーファーだ。
息子に”洋海(ひろうみ)”と名付けるほど、大の海好きだった両親の影響を受け、小学5年の時にウインドサーフィンと出会った。「うまくなるコツは、風と仲良くなってセンスを磨くことかな」。天性の才能か、ただただ浮遊感とスピードに魅了され、波に物怖じすることはなかったという。
現在のフリースタイル競技に転向したのは、16歳。振り返ればこれが運命の転機だった。「純粋にカッコいいなって」。一度海に出れば、そこはステージ。さながらギャラリーを魅了するショーだ。フィギュアスケートのように繰り出す技の多彩さと難易度、出来栄えを競うこの種目に一目で惹かれた。その後、頭角を現すのにさほど時間はかからなかった。転向後、大会に出場すると当時の最年少チャンピオン記録を更新。19歳で日本ランキング1位に躍り出て、鳴り物入りでプロとなった。それから幾度もタイトルを奪取、世界選手権への挑戦など、プロキャリアはまさに”順風満帆”そのものだ。
今月18日(土)・19日(日)に逗子海岸で行われる、「逗子プロアマフリースタイル選手権2015」にも昨年の国内年間ランキング王者として臨む。気負うことなく一見、飄々とした口調で「今から試合が楽しみで仕方がない。早くいい結果を出したい」と語るが、その目線はなぜか鋭く、静かに熱く燃える闘志が垣間見える。それはチャンピオンとしてのプライドだけではない。自身を奮い立たせているのは、ライバル小林悠馬プロ(14年国内年間ランキング同率1位)の存在が大きい。同年代で実力伯仲。さらに今大会は相手のホームで完全アウェー戦に挑む格好で、ことさら懸ける思いは強い。「ケリをつけないと」狙うはただ1つ、頂点だけ。
北海道出身。いいゲレンデを求めて、数年前に三浦海岸へやってきた。ウインドサーフィンに適した風と波、受け入れてくれた人の温かさに支えられ、今日も海に出る。
![]() 三浦の海を颯爽と駆ける
|
三浦版のローカルニュース最新6件
「チェルSeaみうら」徹底解剖6月21日 |
|
|
|
|
|