城ヶ島区長として島の地域活性化に取り組む 石橋 銀一さん 城ヶ島在住 73歳
「賑わい生む好機は今」
○…三浦半島の最南端に浮かぶ城ヶ島。衰退する島にもう一度、かつての活気を取り戻すべく、区長として活性化事業の旗振り役をつとめる。県の交付金を活用した海上釣り堀が今夏オープンするほか、県立城ケ島公園内に民間企業によるキャンプ場開設の調整が進むなど、追い風となる好材料は多い。今が千載一遇の好機だ。
○…生まれも育ちも城ヶ島。70余年、街の変遷を見守ってきた。高校を卒業した昭和35年に城ヶ島大橋が開通。それまで渡し船だった対岸への交通手段が、車に代わったことで来遊客数も飛躍的に伸び、ピーク時には年間200万を超える人が訪れた。一方で、ときに便利さは諸刃の剣となる。1000人いた人口は就職や結婚などで次々と島外へ流出。今では半分の520人ほどに減った。在りし日の賑わいを鮮明に覚えているだけに、「さびしいよね」とポツリ。
○…衰退をただ嘆くだけでは何も生まれない。島内では約5年前に活性化協議会が立ち上がり、幾度も話し合いが重ねられてきた。海上釣り堀のアイデアが県の認定事業となって以降、「『ああしよう、こうしよう』と島全体がやる気になっている」と実感。目的意識を共有したことで、城ヶ島区と観光協会・漁業組合が一枚岩になった。「しかし、地域にとって本当の勝負はこれからですから」と表情を引き締める。
○…区長になって1年。めざす将来像は”自然良し、グルメ良し、遊び良し”の三拍子揃った島に押し上げること。「そのためには旧態依然としたことをやってもダメ」と語気を強め、海が釣りなら陸地は通年で多彩な花が咲く”花の島”にしてはどうかと構想を披露する。熱い言葉の端々にリーダーシップを覗かせるが、「自分は縁の下の力持ちでいい」とその素顔は、城ヶ島を愛してやまない好々爺。子や孫に大好きな故郷を残したい、その一心が励みだ。