お笑いコンビ「たんぽぽ」として活躍する 川村 エミコさん 小網代出身 37歳
不遇な経験、笑いの個性に
○…人気レギュラー番組を複数抱えるお笑いコンビ「たんぽぽ」。全国区の知名度となった今も仕事への貪欲さと真摯な姿勢は変わらない。デビュー当時を振り返ればスナックや製パン工場などのアルバイトで生計を立て、風呂はおろか家すらない絵に描いたような下積み時代があった。「日々精進。誠実さこそ最大の武器」と座右の銘を語り、ファン、家族、仲間への感謝の念が口をついて出る。
○…多くの名優を輩出する「劇団民藝」の舞台俳優だった伯父に憧れ、役者になることが夢だった。「好きな事をやるなら最後のチャンス」と大学では演劇研究会に所属していたが、3年の学園祭で転機が訪れた。来校したプロのお笑い芸人の生ライブ。「会場が揺れるほど観客が沸いた。一言で人をハッピーに出来るのがカッコよかった」。卒業後、芸能事務所のオーディションに合格し、芸人の道を歩み始めた。
○…旧上原中出身、18歳まで三浦で過ごした。「学校前の轟商店のラスクが美味しくて」。懐かしの味を思い出す。年始の帰省では海南神社の初詣とミサキドーナツを頬張るのが毎年の恒例行事で、多忙な日々のつかの間の休息となっている。「いつか三浦の親善大使ができたら」。自身が育った街への思いがあふれた。
○…「子どもの頃、静かで暗くて。母からは『1日1回声を聞ければいい方』と言われたこともある」。理不尽な理由でからかいを受けた記憶は数知れないが、「お笑いに救ってもらった」と話すように、その経験が芸の肥やしとなり、自虐的な芸風は独自の世界観を生み出している。かつては「お笑いだから」と無理に明るく振る舞い、体を張る仕事は不向きだとも決めつけていたが、感じたまま表現すると存外うまくいった。「自然体で、まずはやってみること」。笑いは簡単なようで難しい。「だからこそ、喜んでもらうことに人一倍楽しさを感じるのかな」と目を輝かせた。