島野菜の伝統と賑わいの灯を絶やすことなく後世へ――。城ヶ島で栽培継承されている固有のソラマメを使った料理コンテストが今月20日に開かれ、9の個人と団体が自慢の味を競った。地元食材を活用した名物料理の考案で、種の保存と地域活性化に今後つなげていきたい考え。
ソラマメをはじめ、正月菜、草ネギ、サトイモなど城ヶ島では、代々島民がおもに自給目的で栽培する在来種野菜がある。もともとの栽培量が少ないことに加えて、近年は高齢化による後継者不足などの理由から耕作する人が減少している。種を途絶えさせてはならないと、危機感を募らせた島内外の有志が集まり4年半前に「城ヶ島野菜をつなぐ会」が発足。10人ほどのメンバーが週に1度活動し、地元地権者から無償で借り受けた畑で野菜栽培を続けている。
こうした取り組みに着目した「三浦半島地域活性化協議会」(構成・かながわ信用金庫、京急電鉄、神奈川新聞、関東学院大学、横浜市立大学、横須賀商工会議所、三浦商工会議所/オブザーバー・神奈川県、財務省関東財務局)がコンテストを主催。事業目標の1つに特産物・産業の魅力発信を掲げていることから、料理コンテストの開催を通じて、伝統野菜の認知度向上のきっかけづくりを後押しする。
商品化視野に
城ヶ島ソラマメは、一般的なものと比べるとさやが小さく、甘みと味の濃厚さが特徴。別名「五月豆」とも呼ばれ、収穫時期は1週間から10日と短く、希少な食材だという。コンテストでは、つなぐ会が育てたソラマメを使用。色、形、風味、食感を活かした惣菜やパン、デザートなど趣向を凝らした料理が一堂に会すと審査員からは多彩な調理方法に驚きの声があがっていた。
最優秀賞は城ヶ島京急ホテルの「ソラマメプリン&くずもち」、優秀賞は城ヶ島さんご荘の「ソラマメ水ようかん」と城ヶ島寿光会の「ソラマメごはん&かき揚げ&寒天」がそれぞれ受賞。これらのレシピは今後、島内の飲食店や宿泊施設などでの商品化に向けた試作品提供とアンケート調査を実施予定で、城ヶ島ソラマメのブランド化をめざす考え。つなぐ会メンバーも「少しでも流通できる体制を整えて、観光資源として活用できたらいい」と展望を話した。
![]() 12種のソラマメ料理が並んだ
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