1998年5月2日。人気ロックバンド「X JAPAN」のギタリストhideが、33歳でこの世を去ってから今年で20年を迎える。hideが眠る三浦霊園(南下浦町金田)の墓前には、色とりどりの花が1年中手向けられ、絶えることはない。
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三浦海岸駅から海へ向かって歩くこと約2分。「フラワーショップ三浦花園」は、ファンたちの間ではよく知られた生花店だ。一見すると普通の店構えだが、店内の一角に目を向けるとhideの写真やイラスト、手づくりグッズが所せましと並ぶ=写真上。「ほとんどが来店したファンの方からもらった物」と、店主の大島康男さんは目を細める。
霊園に向かう道すがら、もともと仏花を求める人は多かったが、5〜6年ほど前から誕生日や命日、コンサートの前後のほか、平日でもファンの姿が目に見えて増えたという。「もしかしてhideさんに?」。大島さんは花を選ぶ来店客に気さくに話しかけては、アレンジメントのイメージや思い出話に耳を傾ける。ショーケースにはhideにゆかりのある青いバラを取り揃え、彼のトレードマークだったピンクの髪色や愛用のギターをモチーフにした花束をつくるなど、「眠るそばで少しでも長く、きれいに咲いてほしい」との気持ちに寄り添う。
1人ふらりと入店し、写真の前で30分立ち尽くして涙する人。19年かけて心の整理がつき、ようやく墓参できた人――。哀悼、敬愛、感謝。国内にとどまらず、中国やタイなどのアジア諸国、遠くはチリから、それぞれの思いを抱えて三浦へやって来ることを知った大島さん。今では、SNSを使った交流が日課で、すっかり顔なじみになったファンも多い。
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この日も大阪から1人の女性ファンが来店。すでに10回ほど訪れていると言い、慣れたやりとりで花を注文する。「(三浦花園は)ファンの間では有名。こうした店づくりがとても嬉しい」。命日にあわせて店頭へ設けられた特製のフラワースタンドに顔をほころばせ、カメラのシャッターを切った。
急逝から20年が経った今もなお、生花のように色褪せることなく、人々の心を魅了し続ける存在の大きさに、大島さんは「自分がファンと名乗ったらおこがましい」とポツリ。それでも「この年齢になると本来はロックより演歌だけど、やっぱり覚えちゃうよね」と笑いながら、BGM用に集めたhideのCDを棚から取り出して見せた。
![]() 花束を作る大島さん
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