老朽化による取り壊し計画が出ていた「東京大学大学院理学系研究科附属臨海実験所」の旧本館と旧水族標本棟。先月23日、地域住民を対象とした説明会が同所で開かれ、解体と新施設建設工事に関わる経緯と今後の計画について説明があった。安全確保や構造上補修が困難であることなどから、大学は解体の方針を固め、新築する総合研究棟へ機能移転するとした。
旧水族・標本棟(425平方メートル)は1932年、旧本館(1021平方メートル)は1936年に建設され、いずれも築80年超。同大施設企画課によると、海に隣接する2棟は、塩害と経年劣化により柱や梁、壁面などに亀裂が入り、随所でコンクリートが爆裂。自重や地震の揺れに耐えられないほど構造躯体が劣化しているという。また、建物内部の鉄骨も腐食が進行。やせ細っているものや端部が欠損している箇所も多く確認され、「鉄筋コンクリート造の構造上、新材に交換ができず補修が困難」と施設写真を交えて説明。「本来の使用目的を維持させた状態で構造の安全性・耐久性の確保が難しいため、取り壊しを決定した」と述べた。
工事時期は未定
「移築やせめて外観だけでも残せないか」「新施設の建て替え費用を補修費に充てられないか」。歴史的、建築学的にも貴重とされる建築物の解体に、質疑応答では参加した地元住民や「東大三崎臨海実験所サポーターの会」メンバー、地元市議会議員などから保存を求める声が多くあがったが、大学は崩落のリスクの高さを挙げ、倒壊による人的被害の防止を最優先とすることへの理解を呼びかけた。
なお、解体工事のスケジュールは現時点で未定。
記録を永続的保存
説明会では、実験所入り口付近に総合研究棟を建設する計画も報告された。2012年3月、三浦市と連携協定を締結して以降、海洋教育活動の一環として見学を受け入れていた旧本館2階の展示室も移設。約100平方メートルの市民展示室を一般開放する構想があるという。
また、取り壊し後の跡地利用については具体的に決まっておらず、記念碑やモニュメントの設置なども含めて今後検討。歴史を後世に残すため、写真や映像、設計図面、模型、最新の3D画像などで建物の記録を保存する考えを示した。
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