今年10月、日本各地に甚大な被害をもたらした台風19号。長野県では記録的な豪雨により千曲川が氾濫し、多くの家屋が浸水被害を受けた。三浦市と市社会福祉協議会は、姉妹都市の同県須坂市に職員5人を派遣。先月18日からおよそ1週間、災害対応支援にあたった。現地での活動を通して学び、来るべき日に備えられることとは―。災害に強い三浦をつくるための教訓を聞いた。
密な協力体制の大切さ
先月13日未明、同市北相之島町の堤防を千曲川が越水。その他、多数の河川も増水し、床上・床下浸水被害は270棟(同24日現在)を超え、車中泊した市民を含めると約2千人が避難を余儀なくされたという。
派遣団が須坂市入りした際はすでに水が引いた後。しかし、道路の端には重たい泥や粗大ゴミが積まれ、周辺のりんご畑は浸水被害を受けるなど、そこかしこに爪あとが残されていた。住宅街では復旧作業に追われる住民に混ざり、懸命に泥のかき出しや家財道具を運び出すボランティアの姿があった。
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こうした善意の力を取りまとめ、効率よく活動にいかす拠点が、「災害ボランティアセンター」だ。三浦市では、市社会福祉協議会が災害発生時に関係機関と連携して開設・運営を担当。同法人職員で社会福祉士の杉崎悠子さんは、災害対応支援を行いながら、円滑な体制づくりについて知見を得ようと三浦から須坂へ向かった。
須坂市社協の指揮もと、5人はボランティアの人員調整の補助や駐車場の整理、避難所の清掃などに従事。杉崎さんはそのなかで、「地域の実情を知る人たちがネットワークを駆使して奔走する姿が印象的だった」と話す。被害を免れた地域からの応援や民生委員、地元青年会議所会員も大きな力となっていた。
「ボランティアが必要な世帯はどこで、どんな支援を希望しているのか。ニーズ収集のため北相之島地区の全戸にチラシを配布してまわった」と、三浦市福祉課の石渡隆行課長は活動を振り返る。なかには、災害ボランティアセンターを知らず、支援を受けられずにいたケースも見られ、情報共有の難しさを感じたという。
「実践的訓練を」
須坂市は昭和56年の台風による土石流災害を教訓に8月23日を「市民防災の日」に定め、地震や火災、洪水などを想定した総合防災訓練を実施。災害ボランティアセンターの模擬訓練も行い、万一に備えている。
三浦市も運営マニュアルこそあるが、同センターの開設・運営訓練は未実施。いち早く受け入れ、安全に支援者と被災者をつなぐことが第一として、「行政や地域と一緒に、実践的な訓練ができたら」と杉崎さんは今後の取り組みについて意見を述べた。
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