日本伝統の手漉き和紙文化を守ろうと、下宮田矢作区を拠点に市民有志が取り組んできたオリジナルの”三浦和紙”が今月上旬に完成した。原料の楮(こうぞ)を育てること3年。「上出来だ」。完成品に掌を滑らせるメンバーたちの姿は誇らしげだ。
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活動のきっかけは、2019年1月。角田鳶土木の角田義行さんと小杉農園の小杉智さんが訪れた円徳寺(初声町和田)で、楮の祈祷を受けていた木南有美子さんとの出会いだった。木南さんは手漉き和紙の普及と社会貢献活動に取り組むNPO法人PIARASの代表で、話を聞いた2人は「三浦で楮を栽培できないか」と興味を抱いた。
翌月、苗を譲り受けて植栽。最初は株の間隔が狭く、植え替えを試みたところ、1株を残して全滅する失敗も。反省を踏まえて新たな苗を植えると順調に生育し、今冬は大量に収穫できた。
「三浦手漉き和紙を学ぶ会」というグループを結成し、3月に試作。約15人のメンバーたちは、釜で楮を蒸し、皮を剥く作業を体験した。その後、下処理した楮を埼玉県小川町にある久保製紙に送り、6月23日に原料加工、7月1日に紙漉き作業のために現地を訪問。繊細な工程に悪戦苦闘しながらも大小50枚ほどの紙を作り上げた。「奥ゆかしい質感に仕上がって満足しただけでなく、紙のありがたみを再認識した」と角田さん。「一般的に山間部で栽培される楮が、海風が吹く三浦で無事に育ったことがすごい。紙の出来も職人さんに引けを取らないくらいで素晴らしい」と木南さんは称賛する。
夢は卒業証書
今後はワークショップなどを通じて、三浦和紙を地域に根付かせることを視野に入れている。小杉さんは「皆一つの目標に向かって一歩一歩進むことにワクワク感を感じ、年齢や性別、職業の異なった市民が集まる新たな交流に繋がることを実感した。将来的には学校の卒業証書に和紙が使われるようになることが夢」と展望を語った。
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