三浦半島 草花歳時記 第38回 旧葉を落とし新葉に譲る「ユズリハ」 文・写真 金子昇
明けましておめでとうございます。元旦は過ぎましたが、鏡餅はまだ飾られているかと思います。一般に鏡餅には2枚の「ユズリハ」の葉を八の字にして置かれています。また門松にもマツの枝と共にユズリハの枝を差し込んで固定したり、しめ縄にユズリハの枝とウラジロの葉を差し込み、門柱の間に渡したりする地方もあります。
ユズリハ(譲り葉)は春に若葉が伸びだす頃、その下の古い葉は垂れ下がり葉を落としていきます。このように新しい葉と古い葉の交代を顕著に見られることができるため、家における世代の引継ぎが続くことを願っています。こうした生育の様子から日本人は縁起よさを感じ取り、正月の飾りに用いたのかもしれません。中国でも同じ意味あいからユズリハを「交譲葉」と表しています。
枕草子に中に、大晦日に亡き人への供物(ユズリハを添える)にするという変わった使い方が出ています。平安時代には「お盆」と同じように、大晦日にも祖霊が帰ってくると信じられていました。
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