「日本さかな専門学校」で学校長を務める 松山 英一さん 横須賀市在住 64歳
豊かな海の恵み次世代へ
○…日本初の魚を総合的に学べる専門学校が開校する。学校長として掲げるキーコンセプトは「魚を育てる、食する、愛でる」。北海道や九州から約70人の学生が入学式に参加するのを前に、「根っからの魚好きが集まる稀有な学校。好きなことには熱中できる。海を教室に学びつくしてほしい」と相模湾を望む校舎で笑みを浮かべる。
○…鹿児島県姶良(あいら)市出身。幼い頃は錦江湾でキスの投げ釣りを楽しんだ。「手首に伝わる”ビクッ”という感覚と高揚感は、数十年経った今でも鮮明に覚えている原風景」。大学卒業後は、アパレル業界に進んだ。その後、知人の紹介で22年前に学校法人水野学園に入職。大阪でシューズやバッグの専門学校の立ち上げに携わった。
○…水野学園では、和食調理専門学校も運営。その中で、地球温暖化による海水温上昇や海洋汚染に伴う漁獲量の減少に加えて、漁業者の高齢化や後継者不足など、水産業界が抱える課題が山積みであることを知った。「魚について学ぶ大学はあるけれど、座学が主。海近くでのリアルな体験を通じて、未来を担う人材を育てられないか」。構想から約6年。国内30カ所以上の土地を見て回り、すぐそばに漁港や市場などが密集する三崎で、新たなスタートを切ることを決めた。
○…「さかなの講師」には、養殖業や魚の調理、食品関係、環境分野、水族館スタッフなどその道のプロを招聘。市場での競(セ)りや生息地域の調査といった学外研修も企画中だ。「協調性を養ってほしい」と自由に生き物を飼育できる大小の水槽も用意した。「日本の将来のため、魅力あふれる授業で、まずは人として成長してほしい。そして喜びと豊かさを与えてくれる海や港、まちに活気が生まれれば」