三浦市消防団の団長を務める 伊藤 克己さん 和田在住 52歳
絆深めて故郷に尽くす
○…「自分たちのまちは自分たちで守る」という信念のもと、市民の安全安心な暮らしを守る消防団。10年間の副団長経験を経て、今春には市内12分団211人のまとめ役に就任した。「まちを知り尽くす壮年が揃っている。コロナ禍で数年は思うような活動ができなかった。改めて署と団の連携強化を図っていく」
○…地元の先輩に誘われ、26歳で入団。「若い頃は興奮して前に出過ぎてしまい、煙に巻かれたこともあった」と述懐する。常に危険と隣り合わせの消火活動。月1回ペースで実施する訓練では、玉の汗を頬に伝わせながらも、ケガのないよう一歩引いた冷静な視点から団員に指示を出す。
○…400年以上の歴史がある農家に生まれた。冬はキャベツ、夏はカボチャといった年間180種もの作物を生産。その味が評判となり、TV番組に多数出演するほか、小中学生への講話や収穫体験を通じ、三浦大根など伝統野菜の魅力を次世代へを伝える。献身的で労を惜しまない仕事ぶりには、消防団員だった亡き父の姿が色濃く投影される。トレーニング器具で毎日欠かさず鍛えて屈強な肉体を維持し、玄関の近くには防火服やヘルメットがずらり。「いつでも出動できるから」と柔和な笑みを見せるものの、ひとたび活動服に袖を通せば、キリリと鋭い眼光を覗かせる。
○…東日本大震災時には、避難所に発電機を持ち寄ったり、修理したりする住民と触れ合ったことで「三浦の人情深さを感じた」と振り返る。自身も生まれ育ったまちを守るため、サイレンが鳴ると仕事の手を止め、すぐさま現場に駆けつける。「最近、地震が多い。自然災害では団員の応用力も求められる。地域防災の要として、最大限の力を発揮したい」。熱を帯びた声で誓った。