神奈川県水産技術センター(城ヶ島)と国立研究開発法人水産研究・教育機構(横浜市)、学校法人聖マリアンナ医科大学(川崎市)が共同研究を進めてきたマグロを食べることによる未病改善の有効性について、先ごろ一定の効果が確認された。これに着目した市内のマグロ関連団体は「三崎のまぐろ」の産業振興と地域活性化を図ることを目的に、「まぐろ未病改善効果研究会」を設立した。「健康食マグロ」を新たな価値として掲げ、三浦オリジナル料理の提供などをめざす。
水産研究・教育機構は13年前、マグロに多く含まれる抗酸化成分「セレノネイン」を発見。活性酸素を除去する機能が高く、マウスを使った実験では生活習慣病改善などの効果が見られた。
これを踏まえ、人への有効性を検証しようと、3者は2021年9月から共同研究を実施。県職員や同大学の関係者100人を対象に、マグロの刺し身と血合いの部位の2種類を週3食(1食あたり80〜120g)、3週間食べてもらい、血中に蓄積するセレノネインの濃度やストレス度、老化を抑制する遺伝子の活性を測定した。
その結果、特に血合いを食べた摂取者に効果があり、今年6月には日本抗加齢医学会で発表。水産技術センターの滝口直之所長によると「世界初となる臨床試験の結果。癌や心臓病、糖尿病、生活習慣病、老化予防に寄与するほか、聖マリアンナ医大では運動機能や妊娠の改善、美容効果の研究も進行中」という。
研究会はマグロ関係団体など20人で構成され、7月27日には、事務局を置く三浦商工会議所で設立総会が開かれた。
冒頭、商議所の鈴木金太郎会頭は「地元の経済活性化策として取り組むことを決めた。今後は水産業や観光業の繁栄につながるよう取り組んでいく」とあいさつ。会長に就任した三崎水産加工業協同組合の山本浩司さん((株)羽床総本店代表取締役)は、セレノネイン効果のPR、生食用血合い肉の提供支援、加工品の品質評価を行っていき、11月上旬にはシンポジウムを開催する計画を述べた後、「まずは市内の飲食店で血合いの刺し身から提供していくことで、地域全体で『健康食マグロ』を盛り上げていければ」と展望を語った。
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