三浦半島 草花歳時記 第47回 塩の代用に使う「ヌルデ」 文・写真 金子昇
日本の落葉広葉樹の中で、最も遅く花を咲かせる樹木に「ヌルデ」(白膠木)があります。三浦半島の山林でよく見かける小高木で、葉の軸に翼があるのが大きな特徴です。そして8〜9月に黄白色の小花を多数咲かせます。
中国名は「塩檀木」(イエンフームー)、名の由来は幹に傷をつけ、出てくる白い樹液(漆汁)を採取して、寺院の檀や器具等に塗ったことからこの名があります。ウルシの仲間ですが、かぶれは弱いようです。
秋になると、小さな球状の果実を多数つけ、黄赤色に熟します。果実の表面には白い粉(リンゴ酸カルシウムの結晶)が付着し、口にすると塩辛く、昔は塩の代用として使われていました。また下痢や咳止めの薬用にもなります。
葉には昆虫(ヌルデシロアブラムシやヌルデフシムシ)が寄生し、産卵した刺激から虫こぶ(五倍子(ぶし))ができ、この虫こぶはお歯黒や止血剤、湿疹、凍傷、火傷等に利用されます。
また紅葉も美しく、俳句では「ヌルデモミジ」と詠んでいます。
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