横須賀美術館で個展「不在の向こう―白い余白」を開催する 勝又 豊子さん 諸磯在住 74歳
「継続こそが着想を生む」
○…存在感の強い鉄やレンズで拡大した身体の映像、現実感が希薄で掴みがたいイメージの平面など、館内の吹き抜けを使って独自の世界観を大胆に落とし込んだ。タイトルにある「不在」は、目を凝らしてもはっきりしない人間の心理的距離を表す。「あるような、ないような。見えない部分を想像するのがアートの醍醐味」と微笑する。
○…宮城県石巻市で、3姉妹の末っ子として生まれ育った。幼少期から感性やセンスが鋭く、絵を描くたびに賞をもらった。得意を活かそうと、学生時代は美術部に入部。アカデミックな油絵などを制作した。大学卒業後は、美術の非常勤講師として生徒を指導し、最後は北鎌倉女子学園で65歳まで勤めた。仕事の傍ら、一作家としても活動。国内外で個展を開き、今年6月には旧諸磯青少年センターで開かれた美術展「HAKOBUNE」に参加した。「よく技法を聞かれる」という興味深い作品群。常にテーマにする「身体」は自身の代名詞となった。
○…アトリエを構えるために物件を探していたところ、自然豊かな三浦に魅かれ、35年ほど前に移住。鉛筆画を描いたり、写真撮影したり、小さな模型を作ったり、蝋を流し入れたりするなど一風変わった作業をこなす。大規模な個展を前に少し疲れた表情を浮かべつつ、窓から外を眺めながら「ぼーっとゴロゴロしている時もあるんですよ」とぽつり。ここには揺るぎない情熱と心を癒す静けさが溢れている。
○…趣味は映画観賞。その影響なのか、一人息子は映画業界にいる。畑こそ違うが、親子で表現の可能性を追求。「作品づくりの手を止めてはならない。上手くいったり、いかなかったり、生みの苦しみを繰り返した先に、また新しいアイデアが浮かんでくるから」