「三崎木遣みこしパレード」の実行委員長を務める 山下 晃彦さん 上宮田在住 60歳
故郷で魅せる興奮と感動
○…市内8基のみこしが三崎港周辺を勇壮に練り歩く「三崎木遣みこしパレード」が、10月22日(日)に行われる。4年ぶり2回目。地域のにぎわいづくりと伝統継承をめざし、市民有志らが企画。ビッグイベントをまとめる役を自ら担い、コロナ禍で中止を余儀なくされながらも実行委メンバーと調整を重ねてきた。「木遣に対し、担ぎ手が一斉に受け声を返す姿。もう一度、あの興奮と感動を呼び起こしたい」
○…三崎・入舩区で生まれ育った。囃子方として幼少期から山車で太鼓を叩き、父親が風呂に入ると聴こえてくるのは軍歌か木遣。いつも身近にあった祭りは、心に刻まれた熱き青春の風景だ。
○…10年ほど前、入舩青年会でみこしを作った。受刑者の刑務作業として制作を手掛ける富山刑務所に依頼。完成品を目にした時、遠い記憶とある思いが込み上げた。「マグロ船で景気がよかった頃、よく近所の人に叱られた。でも自分の子どものように接してくれた。そんな親世代を元気づけ、また脈々と築かれてきた伝統文化を次の世代にもつないでいきたい」。各地区の賛同を得て、2019年11月に初開催したイベントは、大盛況で幕を閉じた。
○…中学・高校は野球に熱中。当時プロからスカウトがくるほどの実力者で、今は趣味のゴルフで飛ばすドライバーに生きている。下町の魅力については「気候や食べ物に恵まれているけれど、やっぱり”人間”がいい。あたたかく、いつでも帰ってこられる安心感がある」とほほ笑む。港湾荷役業を営む傍ら、祭りやパレードが三崎に足を運ぶきっかけにもなっている。「ここには心でつながる仲間がいる。いい時代を知っているからこそ、皆でかつての活気を取り戻したい」。強い意志を瞳に宿らせた。