三浦市は、2024年度当初予算案を発表した。一般会計の総額は217億6367万円で、前年比35億4219万円増(19・4%増)。子育て賃貸住宅や市民交流拠点の整備費が大きく影響しており、4年連続の増額、過去最大の規模となった。
2月16日の会見で吉田英男市長は「人口減少など全国的な課題がある。公共資産の維持・活用、地域経済の活性化をテーマに掲げ、想定される課題に対して市の役割を果たしながら、持続可能な市政運営を目指し、行政改革を進める。身の丈財政を基本とする質の高い市民サービスの提供へとつなげる」と説明した。
20年度に公表した「財政健全化への取組について(緊急緊縮財政から身の丈財政へ)」に基づき、全事業の効果を見極めるなど見直しを検討。
ふるさと納税寄附金は、前年度より1億円減額の10億円を見込んだ。寄付金は旧南下浦市民センター用地に今年6月完成予定の子育て賃貸住宅のほか、併設する児童向けの図書館の図書・備品、公園遊具の設置、小中学校の改修工事など子育て施策を中心に活用。また、能登半島地震をきっかけに、同様の半島に位置する市でも防災対策の強化を図るため、備蓄・食料の確保や地元消防団の災害資器材の拡充に向けた予算を充てた。
一般会計の歳入の内訳は、市税が53億3785万円で前年比1・2%減。子育て賃貸住宅や市役所移転を含む市民交流拠点の整備などで、市債は同360%増の27億9644万円となり、全体の12・8%を占めた。
経常収支比率(財政構造の弾力性を示す指標)は104・3%で、前年度101・6%から2・7ポイント悪化した。定年退職手当の計上による人件費や制度改正に伴う会計年度任用職員の手当支給のほか、生活保護費や障害者自立支援費といった扶助費は年々増加傾向。こうした状況について吉田市長は「分母の小さい市ではあるが、財政状況は厳しいという認識はある。何とかやりくりしていき、今後も目標の100%を切れるよう歳入増加、歳出削減に努める」とコメントした。