海南神社青年会の会長を務める 添田 大介さん 岬陽町在住 42歳
子ども大人も心一つに
○…「趣味は祭り」とからりと明るく言い放つ。港町に夏の訪れを知らせる海南神社「八雲祭」を主催する青年会の長に就いた。メンバー36人をまとめ、伝統ある祭りを取り仕切る立場だ。将来的に神輿の担ぎ手となる地元の子どもたちも祭りを楽しみ、祭りに興味を抱いてもらおうと、子ども神輿の渡御を初企画。「三崎にいれば、みんな顔見知り。商店街を歩けば、誰の子がいるか分かる。そんな古き良き田舎町が好き。住民全員で下町を盛り上げたい」
○…岬陽町で生まれ育った。学生時代は柔道に熱中。団体で県優勝、関東ベスト8に貢献した実力者で「三崎で一番の力持ち」との呼び声も高い。モノづくりを好み、船大工の道に進んだ。青年会には、その屈強な体を見た職場の同僚から誘われた。神輿を担ぎ始めたのは、20歳を迎えた頃だった。「神聖なものとして触れられないほど、幼い頃から憧れていた神輿。その分、初の祭りは最高だった」と回想。それと同時に、江戸時代から脈々と受け継がれてきた文化を守る気持ちも、より強くなっていった。年に1日しかこない貴重な祭り。玉の汗を頬に伝わせながら全力を出し切る。「いつもクタクタになるけれど、何とも言えない達成感がある」。今か今かと言わんばかりに肩を回して当日を待つ。
○…少子高齢化や人口減少で、衰退しつつある日本の祭り。「三崎は違う」。成功を期して、仕事の合間を縫っては商店や家庭にあいさつ回り。人懐っこい性格もあって「大ちゃん」の愛称で親しまれ、図らずも会長に選ばれたばかりか、会によって深い絆で結ばれた仲間も得られた。「世代を超えた交流もいい」。祭りは人生の欠かせない一部。高まる興奮を胸に、目の前にあるビールを豪快に飲み干した。