首都圏内に鮮魚卸や飲食店など26店舗を展開する「鈴木水産」。マグロを積んだ帆馬車の行商を原点とし、今や三浦屈指の大企業へと成長を遂げた。一代で築き上げた組織の屋台骨を支え、市内外に自身の名を轟かせた人物こそ、鈴木金太郎さん。最後は三浦商工会議所の会頭に就くなど、確固たる地位を築いた。
「厳格な親父でした。よく悪いことをして殴られました」と長男の淳さん(55)は思い出の断片を明かす。温厚で腰が低いと評判だった金太郎さんも、家庭での姿は少し違ったようだ。ただ淳さんが大人になるにつれ、父の顔は徐々に柔らかくなっていった。「心に余裕ができたんでしょう。幼い頃のしつけは愛情の裏返しだったんですね」
父の葬儀が執り行われた城ヶ島は、多くの人で埋め尽くされた。懐の深さと度量の広さによって厚い人望を得た証。「人に好かれた人だった」としみじみと振り返る。
懸命に働く父の背中を見て育った淳さん。2017年から社長職を継いだ時は「やるしかないと腹をくくった」と偉大な存在に代わって重責を担うことは勇気がいった。現在社内には、淳さんを含むきょうだい4人が在籍。「みんなで力を合わせれば親父に近づけるはず」。会社が巨大化しても本社を菊名に置く理由は「あくまで地元から三崎マグロの魅力を発信する責任がある」という地に足の着いた判断から。
「相手が何を望み、どうすれば喜んでもらえるか」。亡き父が胸に秘めた経営理念は、次世代に色濃く投影されていた。
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