女子サッカーチーム「横須賀シーガルズ女子」のコーチになった 山本 絵美さん 南下浦町在住 31歳
夢を持てるチームに
○…女子サッカーのクラブチームとして草分け的存在の横須賀シーガルズ女子。チーム強化を柱とした体制づくりの一貫で、指導者として2014年度から本格始動を前に先月からチームに合流している。自らも1選手としてミニゲームに参加し、縦横無尽にグラウンドを走る。その都度、選手に指示を飛ばす。一際大きな声がグラウンドに響く。練習終了直後の取材にもかかわらず、呼吸の乱れはない。身長158センチと小柄だが身体能力の高さをうかがわせる。日本代表経験もあり、存在感は一際大きい。
○…選手に求めるのは、自らが考えアクションを起こすプレー。試合はマニュアル通りには進まない。どんな場面に遭遇しても対応できる「瞬時の判断力」が必要になる。選手自ら考えて答えを出す力を身につけなければならない。「選手に1から10すべてを指導するのではなく、どこまで教えるべきか、考えるための余力をどのくらい残したら良いのか」と悩む。先輩コーチからは「それは経験を積むことで学べる」とアドバイスを受け気持ちは軽くなった。「信念を持って指導にあたりたい」と選手に熱い視線を送る。
○…小学生の頃、兄の影響で始めたサッカー。中学に入ると横須賀シーガルズに所属した。その後、国内のチームや海外クラブチームで活躍。アテネオリンピックでは、アメリカ戦で直接フリーキックを決めている。彼女の名は世界に轟いている。
○…オフの日もトレーニング。三浦海岸沿い約16キロを走る。「体を動かしているほうがコンディションはいい」と笑う。時間があれば指導者の本を読み勉強する。良い練習メニューが思いつけば夜中でも起きてノートに書き留める。「1人でも多くの後輩が夢を持ってサッカーに取り組めるようにしたい」。新米コーチは、もがきながらも自らの信念をもち、後輩育成に全力でぶつかっていく。