神奈川県全域・東京多摩地域の地域情報紙

  • search
  • LINE
  • MailBan
  • X
  • Facebook
  • RSS
三浦版 公開:2015年6月26日 エリアトップへ

三浦の散歩道 〈第85回〉 みうら観光ボランティアガイド協会

公開:2015年6月26日

  • LINE
  • hatena
畑の中に見られる義士塚の一つ
畑の中に見られる義士塚の一つ

 前々回に歩いた「なもた坂」を上がって、右方(北)へと向かいました。登り坂になっています。左手の住宅を過ぎると、右側は谷戸で、畑などが見られます。やがて、道は右へと曲がり道幅もせまくなってきます。道は登りになって、「なもた坂」から約五百メートル程でしょうか。登り坂を詰(つめ)た辺りが「高山」なのでしょう。やがて、幅の広い道にぶつかります。「松輪入口」方面から「塚ノ越」を経て、「県道油壷線」に至る道です。その三叉路の左側に、「馬頭観世音」二基を含めた九基の石塔が見られます。左から「青面金剛」の文字塔で裏面に「元治元(1864)甲子(きのえね)十月吉日、小網代村佐右衛門」とあり、その隣は笠付型で「庚申供養塔」の文字と日月、三猿が描かれ、下に「講中」の名が記され、右側に「寛政元(1789)酉年、左側に「十一月吉日」との文字があります。その隣は笠付型で、正面に合掌六手の「青面金剛像と日月一鬼、三猿」があり、安永八(1779)二月吉日の年号があります。次がこの小網代港を控えた土地らしく、風の袋を持った六手の「青面金剛像、日月、一鬼、三猿」があり、「高山講中と七名の名前が見られ、側面には明治八(1875)年十二月吉日と記されています。かつて小網代は風待ち港として栄えたのです。その次は棒を持った六手の「青面金剛像と日月、一鬼三猿」があって、下に「奉造立庚申講中九人」とあり、寛延二(1749)年の年号が読みとれます。さらに次は、剣人六手の「青面金剛像と日月、一鬼、三猿」で、年号は天保十五(1844)年二月吉日」とあります。この塔には「高山里講中十三名の名前が読みとれます。いずれも笠付の塔です。最後の七つ目は板状の自然石で、正面の右に「月輪大菩薩」に、真ん中に「庚申供養塔」とあり、左側に「日光大菩薩」の文字が刻されています。裏面に明治三十四年三月の年号がみられます。

 以上のように七基の「庚申塔」と二基の「馬頭観世音」石塔が祀られているのです。その石塔群に至る手前の登り道に右へと続く道があり、その道に入ると前方右手は眺望がすばらしく左前方には宮川の「風車」をはじめ、前方の彼方には「伊豆大島」も望遠できます。左側は畑になっていて、近くには家屋も見られますが、この地に「義士塚」と呼ばれる「塚」が四基あったのですが、現在では二基しか見ることが出来ません。『新編相模風土記稿』に、「外郭引橋の辺にあり、北條早雲の家士四人の墓なり、相伝ふ荒次郎義意最後の奮戦に、敵兵辟易(へきえき)して敢(あえ)て近づくものなし、特に彼(かの)四人義意目がけ討てかかる、義意ただ一刀に打ち果さんとす、道寸其(その)勇敢を憐(あわれみ)て放免せしむ、落城の後ち道寸の芳志を感じ、ここに来て自尽(じじん)す、故に此の名あり」とあります。その後、村人が四人の塚をつくって、丁重に葬ったとのことです。

(つづく)
 

三浦版のコラム最新6

100まで元気!健康ワンポイントアドバイス

連載

100まで元気!健康ワンポイントアドバイス

三浦市社会福祉協議会 長谷川 黎

6月21日

第57回 ナイヤガラの滝を眺める「スイカズラ」

三浦半島 草花歳時記

第57回 ナイヤガラの滝を眺める「スイカズラ」

文・写真 金子昇

6月7日

100まで元気!健康ワンポイントアドバイス

連載

100まで元気!健康ワンポイントアドバイス

三浦市社会福祉協議会 丸茂海香

5月24日

第56回 ソラマメの仲間「カラスノエンドウ」  

三浦半島 草花歳時記

第56回 ソラマメの仲間「カラスノエンドウ」  

文・写真 金子昇

5月10日

100まで元気!健康ワンポイントアドバイス

連載

100まで元気!健康ワンポイントアドバイス

三浦市社会福祉協議会 山田泰之

4月26日

第55回 下垂する花「フジ」(マメ科)  

三浦半島 草花歳時記

第55回 下垂する花「フジ」(マメ科)  

文・写真 金子昇

4月12日

あっとほーむデスク

  • 6月21日0:00更新

  • 6月7日0:00更新

  • 5月24日0:00更新

三浦版のあっとほーむデスク一覧へ

バックナンバー最新号:2024年6月21日号

もっと見る

閉じる

お問い合わせ

外部リンク

Twitter

Facebook