先月、日本各地に大きな被害をもたらした超大型の台風21号。通過した23日未明から朝にかけて、三浦市内の畑にも爪痕を残した。とくに特産のダイコンは、葉や茎が変色して縮れたり、生育に遅れが出るなどの異変があらわれている。
毘沙門や高円坊地区など広範囲にわたってみられた被害は、塩害による生育不良だ。海上から陸上に吹き込む風によって巻き上げられた塩分が農作物に付着し、成長を阻害してしまう。 横浜地方気象台によると、今回三浦市では最大瞬間風速34・8mを観測。暴風雨に加え、台風の接近と満潮時刻が重なったことで高潮・高波が発生。海岸から離れた土地まで被害が及んだとみられる。
「あと少しすれば収穫できたが、これ以上の成長はもう見込めないだろう」「仕方がないので諦めて種をまきなおした畑もある」――。
台風の通過後、畑では薬剤塗布や付着した塩分を除去する回復作業に奔走する生産者たちの姿も。場所によっては直接波をかぶったところもあるなど被害は深刻で、今シーズンの生産を悲嘆する声が多く聞かれた。
ミカン園では落果
三浦市内では、先月半ばから秋の風物詩ミカン狩りのシーズンに入っている。秋晴れに恵まれれば大勢の観光客が旬の味覚に舌鼓を打ってにぎわう園内も、週末に相次いだ台風の影響で客足は低迷。さらに強い風にあおられた実が落果する被害も出ているという。
三浦海岸駅近くの直売所「野菜のヒカリエ」では、落果被害を受けた近隣農家のオレンジを販売。色づく前の青い実のため、酸味は強いが皮と果肉は柔らかく、絞った果汁をアルコールや料理に活用してもらおうと店頭に並べている。同店オーナーの土屋和巳さんは自身が農家ということもあり、「大変なときは生産者同士で助け合えたら」と思いを語る。
農水省は31日、台風21号による農林水産関係の被害状況を発表。同日現在、45都府県での被害総額は286億3千万円で、増加の一途をたどっている。
また、農作物関連の損失は計69億7千万円。そのうち損傷や落果などによる被害額は54億5千万円にのぼる。
越波で冠水も
市内の被害はそのほかにも、がけ崩れや倒木、海岸への大量漂着物や道路上での砂の堆積、停電が発生。城ヶ島では波が押し寄せ、一部の飲食店が冠水。三浦海岸でも歩道のレンガや車が流されるなどしたため、各所で大規模な復旧作業が行われた。
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