漁師をめざす若い世代の手本になって、漁業の町・三崎を元気にしたい――。宮川樹さん(26・晴海町在住)が、およそ9年の見習い期間を経て、このほど漁師として独り立ちを果たした。
今月4日には、念願だった自身の船「第五君栄丸」(約4・6トン)のお披露目の会が催され、自身が生まれ育った三崎の海に、独立を祝う鮮やかな大漁旗をはためかせた。
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樹さんは代々続く漁師の家に生まれ、幼い頃から船に乗る父・元彦さんの姿を見て育った。「物心ついた時から漁師になろうと思っていた」。17歳から静岡の漁師のもとで修行を始め、三浦へ戻ってからは、独立を見据えて地元漁師の「亀吉丸」や「金長丸」でさらに腕を磨いた。
魚の釣り方、鮮度を保つ管理方法といった漁の基礎から、持つべき漁師の心得も少しずつ身につけた。「五感を働かせろ」、「考えることを止めるな」、「漁師に完璧はない。満足するな」――。
毎日が自然相手の真剣勝負。たとえ大漁であっても慢心することなく、なぜ大漁だったのか?を常に考え、明日の漁に生かせとの先輩たちの教えを胸に刻み、海へと船を走らせる。
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漁師の高齢化、担い手不足などが要因となり、市内の水産業は衰退傾向にある。しかし、障壁はそれだけではない。船の購入費だけで数百万円から数千万円の初期投資が必要になること、技術習得に時間を要すること、生計が不安定であることなど新規参入を阻む要素は数多いという。
それでも、船を思いのまま操り、己の腕一本で魚を釣り上げる醍醐味がこの仕事にはあると宮川さん。地元で働く喜びを噛みしめながら、「楽しい、稼げる、そして結果を出せば三崎の船が増えるはず」と水産業の可能性を語る。「ゆくゆくは若い漁師を育て、独立を支えられるようになりたい」。視線はすでに未来へ向いている。
独立という久方ぶりの祝いの日に、先輩漁師たちからはエールを送られ、気合いは十分だ。今後はキンメダイ漁を柱に操業。「責任も多く、不安がないと言えば嘘になるが、今は楽しみが大きい」と笑顔を見せた。
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