三浦市の人口約4万1千人のうち、65歳以上の高齢者の割合を示す高齢化率は40%超。少子化が顕著で進学や就職、結婚により市外へ転居する若者も多いなか、後継者がおらず閉鎖予定だった地元の介護事業所を承継した市内出身の男性がいる。「育ててもらった地域のために頑張りたい」。一念発起に駆り立てた思いや介護の仕事のやりがいを9月20日の敬老の日を前に取材した。
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海外町で生まれ育った大隈伸さん(横須賀在住)は現在42歳。三崎小・三崎中出身の生粋の三崎っ子だ。市内で高齢者デイサービスと訪問介護事業を運営する「NPO法人コスモスの家」(諸磯)の経営を、今年4月に前理事長から引き継いだ。
同法人は「誰もが年をとっても孤独にならず、住み慣れた地域の中で生き生きとした在宅生活が続けられるように」と、1997年にミニデイサービスを開設。03年にNPO法人化し、今年3月まで配食サービスとの3本柱で展開してきた。
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大隈さんが介護の仕事を意識し始めたのは、転倒による怪我で要介護状態となった祖母の存在だった。知識や技術がなければ支えることができないと考えた。学ぶうちに夢中なり、それまで勤めていたアパレル業界から介護職に転身を決意。ちょうど30歳の時だったという。
業界大手に就職し、現場と事務の両面から研さんを積んだ。「やりがいはこれ以上ないくらい。いずれは地元で独立を」との思いを強くしていたある日、知人から思わぬ知らせが舞い込んだ。「理事長の高齢化により、後継者がいなければ閉鎖になる事業所がある。いい所なので潰れるには惜しい。ぜひ見に来ないか」。誘われるまま訪問すると、自身が思い描いていた理想に近い、「三浦らしいあったかい介護の形」があり、事業承継を決めた。
引継ぎ中は、約30人のスタッフと約40人の利用者を抱える経営者となることへのプレッシャーが日に日に大きくなっていたというが、いざ代替わりしてみれば、頼もしいベテラン職員の支えもあり、忙しくとも利用者とふれあえる日々が「幸せ」だという。モットーは何より先に他者を思いやる利他の心。法人の理念にも掲げた大切にしている言葉だ。
地元の同級生からは三浦への突然のUターンに、冗談半分・本音半分で心配されることもあったというが、大隈さんは「介護職はやりがいの塊」と笑顔で語った。
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