三浦半島 草花歳時記 第50回 枝を神事に使う「ヒサカキ」 文・写真 金子昇
晩秋の頃、山林には「ヒサカキ」(日榊)の果実が黒紫色に実っています。
ヒサカキは高さ4〜8mの常緑小高木で、枝葉は神社での祭りごとや家庭の神棚に飾られる大事な樹木です。本来は同じ仲間の「サカキ」(榊)が用いられるのですが、サカキは関東南部以西に自生しているため、利用できない地域ではヒサカキを代用してきました。三浦半島では大半がヒサカキのため、本種が使われています。ヒサカキの「ヒ」はサカキに対比して劣ることからつけられたようです。
両種の違いは、葉が小型で、縁に鋸歯があるのがヒサカキで、それより大きく鋸歯がないのがサカキです。
早春、黄白色の花を咲かせ、周辺に佳芳を発散させます。
昔から枝葉の灰汁(あくじる)は染料に利用され、これにミカン等の酸性果汁を加えると紫色のインクになります。またアルミニウム成分が含まれているため、灰で江戸紫を染める時にも利用されてきました。果実もつぶすと青紫色の汁が出てきます。
|
|
|
|
|
|