三浦半島 草花歳時記 第55回 下垂する花「フジ」(マメ科) 文・写真 金子昇
「フジ」(藤)の花が咲き出しました。昔は下垂する花を見ると「不治が入る」といって敬遠したようですが、今はお花見の一つとして人気があります。
名の由来は、落ちた花が乾くと紙のように薄く軽いため、春風に「吹き散る」ことから「フチ」から「フジ」となりました。
フジには「ノダフジ」と「ヤマフジ」の2種あり、他にも園芸品種はいくつかあります。一般にフジといえばノダフジを指し、その謂(いわ)れは大阪の野田がフジの名所であったためです。三浦半島ではノダフジが多く、園芸品種も若干見られます。ヤマフジはまだ確認していません。
茎(くき)(蔓(つる))の繊維は丈夫で、昔は衣服を織る(藤衣)のに利用されました。
秋になると10〜20cmの莢(さや)が垂れ下がり、中に丸く扁平な種子が数個入っています。莢は乾くと音を立てて裂け、種子が飛び出します。アマゾンでは、川面に垂れ下がったマメ科の莢が弾ける音で魚が寄ってくるといいます。
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