三崎警察署の署長を務める 堀川 康一郎さん 上宮田在住 55歳
熱い正義感で市民守る
○…「元気にあいさつしよう」。3月19日付で三崎署の第76代署長に着任直後、職員にこう呼び掛けた。「組織を身体に例えると、私たちは血であり肉である。気持ちよくコミュニケーションが取れなければ、100%のパフォーマンスは発揮できない」と言葉の意味をまっすぐな瞳で語る。
○…片瀬生まれ、鵠沼育ち。大学生になると、海水浴客らの安全を守るライフガードを務めた。また、近代史好きで「警視庁抜刀隊」に憧れを抱くように。そのうち「私も地元の治安維持に貢献したい」という正義感が徐々に芽生え始め、1991年に県警入りした。
○…交番勤務から始まり、機動隊で水難事故発生時に救出救助に当たる「スクーバ隊」育成のほか、生活安全部で少年犯罪やDV、ストーカー対策にも長く携わった。駆け付けた現場では、バールを持った男と対峙したり、斧が飛んできたりするなど、命の危険を感じる場面も度々あった。しかし、一度も辞めようと思ったことはなかった。ある日、電車の中で好青年から声をかけられた。聞けば、数年前に恐喝で捕まえた少年だったが、その後「更生しよう」と大検を受け、今は晴れて大学生になったという。「無駄じゃなかった」と自身の仕事の意義を噛みしめるように振り返る。
○…釣りやサーフィンが息抜きだが、「横断歩道の前に立っていても、止まらない車が多い」とオフの日も目を光らせる。今年3月時点で交通死亡事故が1件発生。横断歩道で歩行者と車の接触によるものだった。また、特殊詐欺被害は2件あり、いずれも典型的な息子語り。被害総額は2400万円に上ったことなどに触れ、「警察だけでなく、協力的な外郭団体とも連携強化し、市民の安全安心を確保したい」と力を込めた。