発達に不安のある子どもやその家族を総合的に支援する「(仮称)療育・教育の総合センター」の設置を理由に、逗子市が従来の用途を廃止する方針を固めた市青少年会館。新たな施設開設を待ち望む声の一方で、同館閉鎖に戸惑う人々がいる。生涯学習の場として、長年同館を利用してきた登録団体のメンバーらだ。中には別の活動場所が見つからず、活動そのものの見直しを迫られている団体もあるといい、困惑の声が相次いでいる。
利用者から困惑の声、続々
2日、同館一角の講座室では和気あいあいと囲碁に興じる利用者の姿があった。60代から80代の高齢者を中心に週に1度同館を利用している「囲碁同好会」。今年発足して25年になる。「毎週通うのが楽しみで、ここが精神的な拠り所でもあった。なくなるとすれば非常に残念」。会員の木村佳夫さん(81)は肩を落とす。
同館は1998年に県から移譲され、市の施設に。名の通り青少年の健全育成が主な目的だが、その一方で空いた時間は様々な文化、スポーツ団体などに貸し出され、長年生涯学習の場としても機能してきた。「実際は7、8割が高齢者の利用ではないか」。別の団体の一人はそう話す。同館に登録する団体数は93。軽運動室や和室、3つの講座室があり、午前9時から午後9時まで3時間ひとコマで活動の用途に合わせて利用することができる。
利用者らに正式な説明があったのは5月。同館館長と障がい福祉課長から現在の用途で使えるのは来年3月までということと、今後の使途について告げられた。「そういう施設が必要なのは分かる。だが今さらどこへ行けというのだ」。会場に集まった約100人は一様に困惑の色を浮かべた。
市は、会館の閉鎖にともない、利用団体の別施設への誘導を進める。だが調整が難しく、行き先が決まらない団体が多数を占めているのが実情だ。近隣では同様の機能を持つ施設として、沼間公民館や5月に開所した体験学習施設などがあるが「移動先に必要な設備がなかったり、これまでの活動日が空いていない」(利用者)ケースがほとんどだからだ。特に児童館機能を持つ体験学習施設については子どもの利用に重きが置かれているため、一般利用は平日午前9時から午後1時までと限られる。市担当者も「現実的に100%マッチングさせるのは難しい。各団体に協力をあおぎながら、個別に対応していくしかない」と気をもむ。
県の施設時代から書道を教えている男性(61)は「続けたい気持ちはあるが、子どもの数も少なくなった。ここの教室を閉める潮時なのかもしれない」と話した。
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