先月20日、広島市北部で甚大な被害をもたらした土砂災害。近年全国的に台風や豪雨による被害が増えていることを受け、丘陵地に住宅が集中する逗子市や葉山町でも災害への関心が高まっている。これまで大規模な土砂被害の記録はないが、両市町とも「いざという時のため避難場所を確認するなど対応に備えてほしい」と呼びかけている。
「うちは土砂崩れの危険がないか」。広島市で発生した土砂災害以降、逗子市や葉山町の防災担当には市民からの問合せが相次いだ。三浦半島地域では急傾斜地、いわゆる崖などの急こう配が多い。土砂災害発生の恐れがある「警戒区域」に指定されているのは逗子市が119カ所、葉山町が136カ所の計255カ所。横須賀市では横浜市に次いで県内で2番目に多い1121カ所にのぼる。
土砂災害が発生する要因は複合的で気象や地質だけでなく、近年では都市部で進む宅地開発が引き金になる場合もある。県土木事務所によると2009年度から13年度までの5年間に確認された土砂災害は逗子市が23件、葉山町が2件(いずれも小崩落)。今年4月には逗子市沼間6丁目で台風による土砂災害の恐れがあるとして1世帯4人に避難勧告が発令された(翌日に解除)。
両市町では少なくとも過去10年間で人身や物的被害を伴う大規模な土砂災害の記録はない。ただ近年の異常気象で発生の恐れがある場所やリスクは増加傾向にあり、「元々土地が狭く、山を切り開いて宅地造成した場所が多い逗子も安全とは言い切れない」(逗子市防災課)。
現在県や市町村は防災工事、ハザードマップや避難経路の整備などハード、ソフト両面で土砂災害への対策を進める。ただ広島のケースのように深夜短時間に猛烈な雨量が発生した場合などは自治体の対応にも限界があり、被害を最小限に食い止めるためには行政だけでなく市民の防災や危機意識の向上も重要という。「日頃からハザードマップなどで周囲にどのような危険があるか把握し、避難場所の確認を。また大雨で外出が危険と判断した場合は自宅の2階や近隣の高い場所へ避難してほしい」と両市町では呼びかけている。
警戒区域が示されたハザードマップは両市町のホームページなどで閲覧することができる。
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