振り込め詐欺など「特殊詐欺」による被害に歯止めをかけようと、葉山警察署(猪俣秀彦署長)は14日、町内5カ所ある金融機関に対して60歳以上の高齢者が100万円以上の預金を引き出す場合、金融機関からの通報を要請する「全件通報」を依頼した。今年に入ってから今月2日までに同署管内で1800万円を超える被害が発生しており、全件通報を周知徹底することで被害抑止を図る。
県警が2015年に把握した県内の特殊詐欺被害件数は1022件。被害総額は約36億2900万円と依然高い水準を推移しており、全県的に通報の取り組みを強化している。
同署管内では今月1日にも振込み詐欺が発生。町内在住の無職女性(69)が翌2日と2日間に渡って町内の金融機関で預金を引き出し、計960万円を騙し取られた。同署では以前から申入れはしていたもの、応対した金融機関は正当な取引と判断。通報はなかった。「被害者は葬式や墓の購入費など、預金を引き出すもっともらしい理由を予め犯行グループに指示されている。手口も巧妙化しており、窓口で看破するのは難しい」と増田信彦副署長は説明する。被害者が現金調達を図る窓口は水際のいわば「最後の砦」だが、反面、金融機関側が通報をためらう理由もあるのだという。引き出しを通報することで顧客からの信用を失い、預金口座解約などのリスクを招く恐れがあるからだ。
そこで同署は、町内に営業店舗を持つ金融機関(葉山郵便局・JAよこすか葉山葉山支店・横浜銀行葉山支店)の局長、支店長に対し個別に説明。通報による苦情等のトラブルについては同署が全て対応し、リスク軽減を図ることで協力を求めた。14日までに寄せられた通報は2件。いずれも特殊詐欺の被害ではなかったものの、今後も通報があった際には複数人の署員が駆けつけ、預金者に引き出しの目的を確認していくという。
増田副署長は「人口3万3千人規模の町であればこそ、全件通報にも速やかに対応できる。これ以上被害が出ないよう、抑止に全力を注いでいく」、金融機関関係者のひとりは「警察が間に入っていることでお客様への理解も求めやすい。被害防止に向けて、出来ることは協力していきたい」と話した。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|