設立5周年を迎えた「森のようちえん 葉山 もりのわ」の代表を務める 石井 由樹子さん 横須賀市在住 44歳
より良い保育の形目指して
○…園舎を持たずに地域の自然の中で親と保育する。あれこれ指示するのではなく、子どもたちの自主性を尊重し、なるべく自由に遊ばせ学んでもらう。そんな野外保育のコミュニティ「森のようちえん 葉山 もりのわ」を2012年に立ち上げた。5周年を記念したシンポジウムを今月30日、葉山町福祉文化会館で開催する。「湘南エリアは野外保育の歴史が長く、数も多い。子どもを育てる選択肢の一つとしてもっと広まれば」と意気込みを語る。
○…横浜市出身。子どもの頃から障がいや能力で人を区別することに疑問を持ち興味は福祉の世界へ。大学では社会福祉士と保育士の資格を取得し、知的障がいを持つ人たちに仕事や生活指導をする施設に13年間勤務した。その後いくつかの仕事を経験し、保育園で働くように。現在の活動をするきっかけとなったのは東日本大震災だった。「放射能汚染」が大きく取り上げられ、子どもたちが外で遊びにくい状況になるなか、自分にできることを考え「自然と子どもは分けられない」と確信。「海・山・川がコンパクトにまとまっている葉山」での保育の形を思いついた。
○…一から団体を立ち上げ苦労も多かったはずだが「やりたいことをやっているから大変さは感じない」とさらり。子どもからはっとする言葉をかけられた時や、思わぬやり取りがあった時、心を動かされるという。子どもたちからは「いしいちゃん」と呼ばれ、先生でも親でもない関係を築いている。「自然のなかにいれば子どもたちは自分たちでたくさんのことを発見する。どうしても大人は手を出したくなるけれど、なるべく見守っているようにしています」と穏やかな表情で語る。
○…設立当初に保育した子はすでに小学3年生になった。成長した時、葉山の自然の中で遊びまわったことが糧になれば―。そんな思いを胸に、今日も森の中で子どもたちと接している。
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