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逗子・葉山 人物風土記

公開日:2019.04.05

葉山町長柄にある長運寺の住職を務める
遠藤 陽仁(ようじん)さん
葉山町長柄在住 38歳

「僧侶として できることを」



 ○...「御用邸ゆかりの町にある寺として何かしたい」。思いついたのは、新たな時代がより良いものになるよう、檀家信徒だけでなく、地域の人たちとともに祈ることだった。新天皇が即位する5月1日、真言密教の難行「八千枚大護摩供」を行う。前日から無言・断食・不眠・不臥で、護摩木を焼きながら真言を唱えるというもの。約8時間にわたる荒行だが、境内では地元の飲食店などが集まる「福の市」も同時開催する。「お祭りのように、家族で楽しめる日になれば」と語る。



 ○...横須賀市出身。何かあれば近所の「お不動さん」にお参りする子どもだったという。中学卒業後、仏教の道を希望したが叶わず高校へ進学。その後、すし職人を目指して板前修業に入った。「今なら完全なブラック企業でした」と苦笑いするように、朝9時から翌午前2時まで働きづめの生活。7年過ごして腕は上達したが、煩悶する日々が続いた。



 ○...支えとなったのが、仏教書や瞑想だった。ちょうどその頃に出会った妻との縁から、26歳で高野山に入山。厳しい修行で知られるが「板前時代の方がきつかったかも」と笑いながら振り返る。その後、三浦にある妙音寺を経て2017年から長運寺の住職に。早くから地域に溶け込み、知り合いが知り合いを呼んで「福の市」やヨガクラスを開催。今後は書道や茶道教室も開く考え。「お寺は本来開かれているもの。人が集う場になれば」



 ○...分け隔てない性格だが、チラシやホームページは自分で作るなど、なんでも突き詰めるタイプ。寺を取り巻く環境が厳しくなっているからこそ、進むべき道は明確だ。「仏教は亡くなった人はもちろん、生きる人のための教えでもある。一人の僧侶として、できることを積み重ねていきたい」

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