夜のとばりが下りるころ、営業を終えたはずの老舗理容店に再び明かりが灯る。御用邸前から長者ヶ崎へと向かう途中、趣ある建物に「け」の暖簾が目印の山口理容店(下山口)。3代目店主の山口昌男さん(73)が腕を振るう同店は6月から、不定期で夜間も営業している。店に立つのは息子で4代目の太郎さん(27)。10年の修業期間を経て、実家を継ぐことを決意。「モダンバーバー」の魅力を広めたいと意気込んでいる。
同店は明治時代の創業。当時は神明社のそばで昌男さんの祖父が理髪店を始めた。ほどなくして現在の場所へ。代替わりのタイミングで、昭和30年代初めには現在の店名になったという。
理容師と美容師、両方の資格を持つ昌男さん。その腕の評判は高く、地域住民はもちろん、県外や海外から通ってくる常連客もいるという。
深刻な後継者不足
「床屋の後継ぎはみんな美容室をやるか、やめてしまう」。昌男さんの言葉の通り、理容業界は店舗数も理容師数も減少の一途を辿っている。
厚生労働省が2015年に実施した「生活衛生関係営業実態調査」によると、理容店の数は1985(昭和60)年の14万4939店をピークに減少が続き、2015年には12万4584店に。個人経営が9割以上を占めているのが特徴で、そのうち8割が50歳以上。後継者不足も深刻で、個人経営店の7割で事業継承の目途が立っていないという。若者のヘアスタイルの多様化による美容室への男性客流出や、「千円カット」に代表される低価格チェーンに押され、客数の減少に歯止めがかからないのが業界全体の課題だ。
人気追い風
しかし、暗い話題ばかりではない。
近年、海外の流行を取り入れる形で、若者たちにバリカンとポマードでかっちり髪型をきめたクラシカルな”バーバースタイル”が「古くて新しいオシャレな髪形」として人気に。理美容業界のトレンドとして雑誌などに特集されるほどで、清潔感を重視するビジネスマンにも受け入れられている。
都内にはビアバーやテーラーを併設して世界観やくつろぎを提供する個性的な店も現われるなど、従来の枠に当てはまらないモダンな理容室が注目を集めている。
葉山らしさ出したい
葉山で生まれ育ち、子どものころから父の背中を見て育った太郎さん。「高校までバスケに打ち込んだが、プロにはなれない。それだったら、理容師の世界に進もうと思いました」と専門学校を経て、都内で就職。3畳の部屋に寝泊まりしながら、知識と技術を吸収した。「もともと不器用なのですが、練習すればできるようになるのが楽しくて」。コンテストで入賞したり、若くして店長を任されたこともやりがいに繋がった。
現在、昼間は横須賀の「ベース」内にあるバーバーに勤務している。「日本人と髪質が全然違うし、要求も細かいので勉強になる」。葉山に戻り、店に立つのはその後だが「体力的にきつい時もあるが、今はこの店の改装資金を貯めたい」ときっぱり。父の昌男さんは「どんなやり方でもいいが、全てはお客様に喜んでもらえるかどうか」とアドバイスする。
「例えば、ここに泊まれたり、髪を切った後に葉山で遊べるような場所にできたら面白いと思うんです」。生まれ育った街と受け継ぐ店をどう掛け算していくか、アイデアは尽きない。「時代とニーズに合わせ、葉山らしい、カッコいいバーバーを作っていきたい」
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