コロナ禍をきっかけに広まったテレワークで、東京から地方へ移住する人が増加中だ。
逗子市や葉山町の不動産会社の関係者は緊急事態宣言の発令以降、ホームページへのアクセスや問い合わせが急増したと口を揃える。
そんななか、「ひふみ投信」で知られる著名投資家の藤野英人さん(レオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長・最高投資責任者)は5月から、生活の拠点を逗子に移した。会社の規模に関わらず、成長企業の経営者らと直接会って話すために全国各地を訪ねている藤野さんに聞いた。「なぜ、逗子を選んだのですか?」
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――移住したきっかけは
「2年前に、現在の住居を別荘として購入した。きっかけは、(アウトドアブランドの)スノーピークの山井太会長に誘われ、キャンプへ行ったこと。それまでは、野外に泊まることの何が楽しいのか全く分からなかったが、いざ泊まってみるとこれが凄かった。日頃、海外のマーケット情報を確認するために、午前2時と4時になると起きていたが、この日はぐっすり眠れて鳥の声で目が覚めた。ちょうど、このままの生活を続けていたら、身体を壊すと思っていた時で、山井会長が唱える”キャンプは人間性の回復”ということを実感。自然に近い場所に別荘を買うことにした。
当初は軽井沢で探していたが、逗子に住む先輩に『ここはいいぞ』と強く勧められた。実際訪れると都内まで車で1時間で、温暖な気候。ご飯も美味しく、ここにしようと。現在の物件に出会い、しばらくは週1回のペースで来ていた」
――コロナの影響は
「だいぶ前から”通勤”は誰にとっても良くないと考えていた。親の介護で優秀な女性社員を失ったことも理由の一つで、1年前からコアタイムなしのフレックス制と在宅勤務の準備を進めていた。これは社員を守るだけでなく、優秀な人材を集めるうえでも必要な会社の戦略。現在は私を含め、原則として在宅勤務で、どうしても出社が必要な際はラッシュ時間を避けて時差出勤している。緊急事態宣言が出たあと都内にいる必要がなく、逗子に拠点を変えることを決意し、5月には住民票も移した」
――藤野さんから見た逗子の魅力と展望は
「よく『鎌倉ではなかったのですね』と言われるが、逗子の”明るい空気”が気に入っている。新鮮な地場の食材を食べているおかげで、在宅勤務を始めてから痩せたうえに人間ドックの数値も格段に良くなった。
会社にいることが標準だったこれまでの日本が異常だった。愛する家族との時間がこれまで以上に大事にされるのではないか。都内の感度が高い人が移り住むとき、美味しいご飯屋さんやオシャレな店があることは大事。逗子を含む湘南エリアはここが強い。
5Gやテレワークのさらなる普及で、逗子への移住はますます増えていくと思う。住みやすい、働きやすいを突き詰めていくことで人が集まり、それに根差したインフラができる。大きな会社を呼び込むのは難しいが、そうした街のインフラ機能としてスモールビジネスをやる人が増えると町が強くなり、結果として生き生きとした街になると思う」
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