児童文学作家でデビュー作を出版した 南田 幹太(なんだ かんた)さん 逗子市在住 58歳
子どもに良書届けたい
○…児童文学作家としてデビュー作『ぼくの師匠はスーパーロボット』をこのほど出版した。念願だった初の著書は、近未来が舞台の心温まるSFコメディー。小学4年の主人公が「おじいさんロボット」と出会い、成長していく姿を描いた。
○…東京都で生まれ、千葉県で育った。野山を駆けまわる子ども時代を過ごし、中学生になると読書家だった母の影響を受けて、純文学を読み漁った。「トルストイやゲーテ、漱石や太宰など国内外の名作に夢中になった」。大学ではアメリカに1年間留学。80年代カリフォルニアの自由で活気ある空気を胸いっぱいに吸い込み、卒業後は語学を生かして外資系の銀行に就職した。
○…新聞社のイベントやデジタル部門を経て、46歳で早期退職し翻訳者に転身。逗子の自宅で医療や契約書類などを手掛けて経験を積んだ。新聞やビジネス雑誌など、出版翻訳もやりたいと思っていた所、「師匠から文章の型ができてしまっていると指摘を受けた」。それならオリジナルの文章を書こうと一念発起。翻訳業をこなしながら、50代になって創作活動を始めた。「最高の読者は子どもたち」と児童文学作家を志し、様々な賞に応募。今回の作品も著名なコンクールで受賞したものだ。
○…今作には自然の中で遊び、読書や武道に打ち込む自身の経験も盛り込んだ。物語の中ではロボットがそのきっかけを与えたが、自身の異色の経歴を振り返ると「ちょっとした思い切りの連続だった」という。「その時の決意は小さくても、10年後の人生は大きく変わる」。自由を愛し、現状に満足することなく道を切り拓いてきた作家は、子どもたちの背中をそっと押すような良書を届けようと今日も机に向かっている。
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