逗子市は、二子山山系に生息するイノシシ対策に本格的に乗り出す。横須賀市との共同事業として助成金の交付を受け、民間業者に委託。東逗子から横須賀方面の山沿いを中心にくくり罠を仕掛け、捕獲することで人的被害の未然防止を図る。
逗子市、葉山町、横須賀市に囲まれるように位置する二子山山系では、2013年頃からイノシシが姿を見せるようになった。
農業被害が発生していた葉山町では15年、行政や農業従事者らからなる協議会を設置し、葉山わな猟の会がくくり罠を使った捕獲を行っている。イノシシは2歳ころから老年期にかけて毎年、子どもを産む繁殖力の高さが特徴。天敵がおらず、木の実やタケノコなど餌が豊富な二子山はイノシシの生育にとってうってつけの場所とされる。町によると昨年度は54頭、今年度はすでに7頭を捕獲したという。同会の関係者はこれまでの捕獲数や監視カメラに映った個体数などから「現在は40頭くらいが生息しているのではないか。春に生れたウリ坊を含めるともっと多いはず」と分析する。
沼間の山側に設置
葉山町で対策が進むなか、逗子市は横須賀市と共同で対策に着手する。横須賀市が代表市となり、(公財)神奈川県市町村振興協会の「市町村共同事業助成金」に申請。両市にまたがる捕獲事業について、横須賀市が一括して業務を民間事業者に委託することとなった。
逗子市ではこれまで、免許を持った民間人がイノシシを捕獲してきた。その数は2017年度が6頭、18年度が6頭、19年度は2頭、20年度は3頭だった。
罠は、獣道などに設置して足にワイヤーを絡ませる「くくり罠」を使用する。逗子市内では、沼間中学校裏手や二子山ハイキングコースの馬頭観音付近、逗葉新道のトンネル付近などで出没していることを踏まえて、沼間1丁目から3丁目にかけての市町境に5カ所設置する予定。今年11月から3月までの期間中、業者が毎日見回り、随時、状況を見極めて設置場所を移動させる。今年度は10頭の捕獲を目標にしているという。
葉山町の関係者の間では、「大農地の三浦市まで生息域が広がったら大変なことになる」と危機感があった。また、イノシシは嗅覚が鋭く、警戒心が強い。そのため、巡回が行われている葉山側を避けて、逗子や横須賀方面へ逃げ込んでいるとの指摘もあったが、今回の事業で2市1町による二子山山系における「包囲網」ができた形だ。
担当する逗子市緑政課は「市内では作物が食い荒らされるなど、目に見える被害は今のところない。ただ、住宅地に近い所で出没しているのが特徴で、人的被害を未然に防ぐためにも、対策を徹底していきたい」としている。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|