葉山アマモ協議会が取り組む「葉山町の多様な主体が連携した海の森づくり活動」のブルーカーボンクレジットを、町内外の企業が購入した。3月18日には関係者を招いた購入証書譲渡式と報告会が行われ、交流を深めるとともに活動への思いを新たにしていた。
ブルーカーボンとは、藻場などの海洋生態系に取り込まれた炭素のこと。この吸収量を定量化し、取引可能な形態にしたのが「ブルーカーボンクレジット」で、カーボンニュートラルを目指す企業などが購入すると葉山町漁業協同組合の資金となり、藻場再生活動に活用される。燃えると大気中に二酸化炭素が放出される樹木とは異なり、海藻は炭素を海底などに蓄積するため、漁業者が収穫しても問題なく、クレジットが毎年発行されるのも特徴だ。
葉山町沿岸では2018年頃から海藻類の衰退が急速に進み、海底の砂漠化とも言われる「磯焼け」が問題となっていた。葉山町漁業協同組合・町立一色小学校・ダイビングショップナナ・(株)鹿島建設からなる葉山アマモ協議会は、一体となって藻場再生に取り組み、他に例を見ない「葉山モデル」を構築。ダイバーとの連携やワカメ養殖のクレジット化は全国初だ。
葉山町漁業協同組合の角田正美組合長は「これからも皆さんとともに活動に取り組んでいきたい」とあいさつ。その後、Jブルークレジット購入証書の譲渡式が行われ、JBE理事長の桑江朝比呂さんから、購入企業へ手渡された。
それぞれの企業紹介や、クレジット購入に至った経緯・思いが発表され「たまたまネットで発見した」「ブルーカーボンは知らなかったが、葉山が好きで上司の決裁を取る前に購入を決めた」といった声も上がり、会場を沸かせた。
その後、町在住の料理研究家・カフェ・マニマニの土屋由美さんと、都内でミシュラン3つ星レストラン「レフェルヴェソンス」の料理長で、葉山でフリーダイビングを楽しむ生江史伸さんが取れたてのわかめや海産物を使った料理を提供。葉山の海の豊かさを味わうとともに将来に残す責任を噛みしめた。
今後は、葉山海域の海藻群をめぐるブルーカーボンクルーズを実施予定。クレジット購入企業だけでなく、地域での教育・啓発を行う。また、地域が一体となった「葉山モデル」の展開も視野に入れ、相模湾や全国各地の団体と情報交換を通じ、藻場再生の協力体制の構築を目指す。
逗子・葉山版のトップニュース最新6件
|
|
|
|
|
|