出版のコーディネートを手掛ける株式会社八鳥(逗子市新宿)の代表、板橋裕美さん(36)=人物風土記で紹介=が、一日に一書だけを販売する移動式本屋をスタートさせる。地域のイベントなどに出店し、「日常に発見と出会いを提供したい」と意気込む。
移動式本屋「Vantasy Books」は軽自動車のバンを改造したキッチンカー。Vantasyはバンでファンタジーを届けるという意味の造語だ。本の販売と同時にこだわりの紅茶も提供する。現在、車の形状にあわせた本棚を制作中で完成後に開店する。
5月3日から5日には三崎口駅前でプレオープンした。遠方から来た人が本を買っていくなど、「喜んでもらえる事業に育てていけそうな可能性を感じた」と展望を語る。
全ては南米の物語との出合いから
板橋さんは学生時代に訪れた旅先で『ハチドリのひとしずく』という童話に出合った。南アメリカの先住民に伝わる話で、森が火事になる中、一羽のハチドリがくちばしで水のしずくを一滴ずつ運び火を消そうとする物語。ハチドリの「私は私にできることをしているだけ」という言葉に感銘を受け、以来、自分に「できること」を探し続けているという。
葉山に移住し約5年。自分の経験を何か地域に還元できないかと考えたのが移動式本屋。同店で販売するのは板橋さんがこれまでに逗子・葉山で出会い、影響を受けた人に選んでもらった1冊の「推し本」。「イベントに訪れる人はどんな人だろう」と想像し、誰ならぴったり合う本を選んでもらえるかを考える。選書者と本が決まると、その本を手にした人がどんな視点を得たりするだろうかと想像が膨らむという。板橋さんは「本を読むことで直接自分で経験しなくても、多様な文化や価値観に触れる体験ができる」と読書の魅力を力説する。
次の出店はあさって28日(日)に開催される自転車のイベント「ツール・ド・逗子」のスタート・ゴール会場の亀岡八幡宮(逗子市逗子)。6月3日(土)に川崎市の大師公園で行われる「ゆるっとまるっとパーク大作戦」、11日(日)には「ずしグリーンライフフェス」にも参加する。
グランドオープンした後は週末ごとに店を開ける予定で、「地元の朝市などにも参加したい」と力を込める。
![]() 板橋さんの推し本『ハチドリのひとしずく』(光文社)
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